第四十話 ならず者共の暗躍その四
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「何かあれば助けないとな」
「そうよ、お友達ならね」
その関係の相手ならとだ、母は息子にまた言った。
「困った時は助け合うことよ」
「そういうものだよな」
「ギブアンドテイクじゃなくてね」
「損得じゃないな」
「そんなのは抜きにしたよ」
それこそというのだ。
「そんなものだから」
「友達はか」
「相手が困っていたら助ける」
「純粋にそう思って動く」
「それが友達よ、困っている時に見捨てるのなら」
そうした関係ならというのだ。
「最初から友達じゃないのよ」
「そういうことだな」
「そんな子に育てた覚えはないわ」
一切とだ、母は息子にこのことも話した。
「最低な子にはね」
「友達を見捨てたらか」
「そんな奴は屑だ」
父も言う、彼は吐き捨てる様な口調だった。
「俺も御前をそんな奴に育てた覚えはないからな」
「友達を見捨てる様な、か」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そんな奴はぶん殴ってやる」
「そうか」
「行って来い」
父はまた息子に言った。
「何時でもな」
「平日でもか」
「二日か三日位は何とかなる」
「一週間でもね」
二人でまた我が子に言った。
「その間に何とかしてこい」
「優花ちゃんを助けてくるのよ」
「そうしてくるな、その時は」
「よし、それじゃあな」
ここまで話してだ、父は。
焼酎の瓶をもう一本出してだ、そして龍馬に言った。
「やる、飲め」
「一本か」
「そうだ、好きな様に飲め」
見れば黒糖焼酎だ、鹿児島産と書いてある。
「これは美味いからな」
「じゃあ飲むな」
「そうだ、そして何かあればな」
「長崎に行って来るな」
「胸を張って行って胸を張って帰って来い」
父は我が子に告げた。
「いいな」
「胸を張ってか」
「そうだ、御前は悪いことをしに行くのか?」
「いや」
すぐにだ、龍馬はそれを否定した。
「そんなことしにわざわざ長崎に行くかよ」
「しかも私利私欲じゃないな」
「それでも行かないさ」
龍馬はこちらも否定した。
「あいつの、優花の為だ」
「ならいいことだ、いいことをしに行くのならな」
「それならか」
「胸を張って行って来い」
こう言うのだった。
「いいな」
「そうか、それじゃあな」
「お母さんも同じよ」
母も我が子に言った。
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