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真剣で私に恋しなさい!S〜それでも世界は回ってる〜
12部分:第十話 解決と笑顔
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外すと、中から黒髪のツンツンヘアと×の傷が付いた頬が現れる。


「久しぶり、悠里」

「……父さん」


相手は紛れもなく俺の父親である天城琉聖だった。それと同時にわかった。ここは死者の来る世界ということが。


「まだお前は死んじゃいねぇよ。……もう少し、お前と戦いたかったけど、ここまでだな」

「え?」

「じゃあな、悠里。お前の居場所、まだここには無いみたいだ」

「ちょっと待っ……!」


て、と言おうとして、俺の足下には黒い穴が出現する。咄嗟の出来事に俺は反応が遅れてしまい、その穴に落ちてしまう。落下の際、父さんが俺を見て呟いてるのが見えた。


「忘れるなよ。お前が……」


俺達の、生きた証だ。





俺は気が付くとベッドに寝かされていた。上に見えるのは白い天井だが、窓から差し込む夕陽が部屋をオレンジに帰る。頭の横からピッ、ピッ、と機械音が聞こえてくる。


「う……っ!?」


身体を起こそうとすると、脇腹に激痛が走る。……そういえば刺されたんだっけ。


「あまり無茶はしない方がいいですよ」

「……冬馬か」


声のした方向には冬馬が立っていた。


「おはようございます、悠里君。気分はどうですか?」

「最悪。身体重い……」

「それはなによりです、健康な証拠ですよ。それはともかく、羨ましい光景ですね」

「は?何言って……」


と言って俺は固まった。俺のベッドの横には……


「むぅ……ん……」


モモが寝ていた。モモは俺の片手を握って、ベッドに身体を預けて寝ていた。


「昨日は違う女性からも心配されたそうじゃないですか。モテモテですね、悠里君は」

「茶化すなよ。そんなんじゃない」

「フフ……では、私は担当に連絡してきますね」


そう言って冬馬は部屋を出るが、「ああ、それと」と言って何かを思い出して戻ってきた。


「悠里君が助けた小雪ちゃんですが、身体に異常はありません。健康そのものですよ」

「そっか……ありがとう」

「いえいえ、それでは」


そう言って冬馬は部屋を出て行った。俺は横で寝るモモの頭を、残った手で優しく撫でる。


「ん……ん……?」


するとモモは目を覚ました。モモは眠むそうな目でこちらを見た。


「悠里……?」

「ああ、おはよ……うおっ!?」


ガシッ!


「悠里!気分は大丈夫か!?変なところないか!?」

「大丈夫だって!てか、揺らさないでくれ!傷が……」

「あ……すまん」


そう言ってモモは掴んだ手を離す。 ややあってモモが聞いてきた。

「悠里……」


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