第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
なのはStrikerS 〜一つの想い〜
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その部分を、蒔風が誇らしげに、まるで息子自慢をする父親のように言って見せた。
「あの子を、助けたい」
『は?』
「モニターの向こうで苦しんでいる、あの子を助けたい。運命に翻弄され、母親を求めて叫ぶ、あの囚われの少女を助けたい。今この空、地上にいるすべてのものが、どんなに小さくともその事を願ってくれている」
それは名誉のためかもしれない
それは偽善や偽りかもしれない
それはただ出来たらいいという夢かもしれない
だが、どんな形であれ、すべてのものが願ってくれている。
ヴィヴィオに、家族を
泣き叫ぶ彼女に、救いの手を、と
「侮ったな?クアットロ。これが俺の援軍だ。これが俺の力だ。皆の願いを一身に受け、俺はこの場でお前を討つ」
気が付けば聖王の間を、金粉のような粒子が充満していた。
一体どれだけの人が願ってくれたのだろうか。
過去、蒔風がこの力を使ったのは一回のみだった。
その時皆が想ったのは「生きたい」という生物自身の持つ、半ば本能のようなものだった。
だが、ここに集まる願いは、それをはるかに凌駕する。
数の差ではない。そんなものでは決してない。
にもかかわらず、それを凌駕する理由など、今さら言う必要もないだろう。
「す、凄い・・・・」
その光景を見て、なのははこれが奇跡だと思った。
ヴィヴィオのために、これだけの人が想ってくれている。
それだけで涙が出る想いだった。
意識を凝らして見ると、声まで聞こえる。
助ける、という強い思いが。
そこには全く効いた事のない人の声もあれば、自分の教え子のものもあったし、親友のものもあった。
間違いなく、目の前に起こっていることは奇跡だ。
本来見えなかった世界の輝きが、そこで威光を放っていたのだから。
《しかし蒔風。あなたのこれだけの力を、私は受け止めきれません。どうするつもりですか?》
そこでレイジングハートが訊く。
確かにそうだ。これだけの力を魔力に変換して砲撃など撃てば、レイジングハートが粉々に散ってしまうだろう。
だが、大丈夫だ、と蒔風がレイジングハートを左手に持ち変える。
そうしながら自分に集まった願いを魔力に変換、それを周囲にばらまいた。
ただばらまいただけなので、当然破壊などは起きないし、衝撃も無い。これはただの下準備だ。
「願いの元が、同じ「高町なのは」という同一人物だからこそできる妙技、見せてやる!!!」
そう言って手をマジシャンのようにひっくり返した蒔風の指の間には
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