64.■■■■
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りに恥ずかしくて俺は自分の顔面を数発殴り、それでも抑えきれない欲動に駆られて砂浜をばんばん叩きながら両足をじたばたさせてもだえ苦しんだ。
馬鹿だ俺は、本当に馬鹿だ。ぶっちゃけありえない。
この体たらくでオーネストの荷物背負うとかほざいてたのが恥ずかしくてしょうがない。もういっそ死にたい。でもこんな理由で死んだらその方が更に恥ずかしくて死ねる。
「あ゛〜〜〜!!もう帰る!!」
「どちらにだ?」
「アズライールの方に決まってんだろ馬鹿!!帰ってオラリオで知り合った全員に土下座したいわッ!!マジほんとありえん!!2年前に死んだ親友トーテツくんが草葉の陰でプークスクスしてるレベルだよッ!!」
本当にすまない、トーテツくん。あんなに泣いたのにその事実をなかったことにしようとした俺は最低だ。あの瞬間から消えなかった胸の苦しみや後悔、行き場のない感情を偽物になどしてはいけない。あの世に行ったら真っ先に君の所に行って謝る。まぁ、君の場合は「よくわかんないけどまた遊べるねっ!」とかそういう癒し系の一言で許してくれるんだろうが、それでもだ。
(――トーテツ君、か。そういえばそろそろ命日だっけか……)
オラリオで初めて感じた喪失感――永遠に会えない事の意味。
あの一件は、俺の心に漂っていた夢見心地を貫く楔となった。
それでも、俺とトーテツくんは友達だったんだ。
「………行くか」
俺は砂場で寝ころぶ俺を引きはがし、現実世界の俺を引きはがす事でオラリオへ戻ろうとし――自らの胸に押し当てられた二つの手があることに気づいた。二つとも暖かく、そして必死だった。
『絶対にあなたを死なせないから。私を助けたあなたを、一生賭けてでも守り抜いて見せるよ』
一つは皸て尚献身的な温かさを感じる、かつて助けた女の子の手。
『絶対にお前を死なせんぞ。俺が生きろと言っているんだ、生きる以外に選択肢があると思うな』
もう一つは、血に塗れて尚美しき我が親愛なる悪友の手。
しばし考え、取捨選択した。
「………ごめん。多分、まだ行けないから」
俺は女の子の手を出来るだけ優しく、そっと引きはがす。
あちらにも、俺の存在を望む声はあるのだ。たった一つかもしれないけれど、苦しくてしょうがない場所なのだけれど、そこにも俺の居場所はあるのだ。今は絶対に選ぶ気になれないけれども――その事実はしかと胸に受け止めなければならない。
気が付けば砂浜には白い階段があった。どこまでも際限なく続くような階段だ。
あの先に、懐かしき我が戦場がある。多分戻ったところで役には立たないが、それでも戻る。
「しっかし遠いな……それだけ俺の肉体が瀬戸際という解釈でいいのか?まったく、真後ろに扉一枚と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ