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とある星の力を使いし者
第161話
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らない。
若干混乱する制理に麻生は言う。

「勘違いされても困るんだが、お前から俺の手を握ったんだからな。」

おそらく麻生は制理の混乱を鎮めようと思って言った。
しかし、その言葉はさらに制理の混乱を煽るものだった。

「なっ!?・・えっ!?、嘘・・・私、無意識に恭介の手を・・・・」

少しずつ冷静になってきたが、冷静になればなるほど自分の行為が恥ずかしく思えた。
顔を真っ赤にするが見られないように俯く。

「それで体調はどうだ?
 昼頃から顔色が凄く悪かったぞお前。」

麻生に言われて自分の体調を気にする。
今朝の様な全身を覆う気怠さはマシになっていた。
睡眠不足も解消されている。
二日ぶりの熟睡を堪能したらしい。
足元が少しだけふらつくが、歩く分には問題なさそうだった。

「多分、大丈夫だと」

その時だった。
ぐぅ〜、とお腹が鳴ったのは。
鳴らしたのは麻生ではなく制理だ。
彼女はここ二日、真面な食事をとっていない。
空腹などを気にしている余裕は倒れるまでなかったのだが、体調が治ってきた事でお腹が自己主張したようだ。
トマトのように耳まで顔を赤くする制理。
お腹の音を聞いた麻生はちょっとだけ笑みを浮かべる

「その調子だと問題なさそうだな。」

麻生はそう言って席を立つ。
ちなみに保険医は此処にはいない。
職員会議があるらしく、制理が目を覚まして容体が悪くなければ勝手に帰っていいと言い残している。
足元にある病院から持って帰ってきた荷物と制理の荷物を持つ。

「これお前の荷物。」

「何でここに?」

「クラスの奴が放課後に持ってきてくれたんだよ。」

「明日にでもお礼を言わないと。
 えっ?・・・放課後!?」

と、麻生の言葉に反応したのか制理は保健室の時計を確認する。
時刻は午後五時を回っていた。

「あちゃ〜、クラスの子にノート見せて貰わないと。」

「倒れて即勉強の事を心配するお前は学性の鑑だな。」

少し呆れながらも荷物を持って保健室を出て行こうとする。

「それじゃあな。
 帰り、気をつけて帰れよ。」

「あっ・・・」

麻生が帰ろうとする時に制理は咄嗟に声を出してしまった。
それを聞いて麻生は足を止める。

「どうした?」

何か言おうとしているのが分かったのか、制理に尋ねる。
対する制理は言うべきかどうか迷っている。
言おうとしているのはあの夢だ。
こうして熟睡できて空腹を感じる事ができたのも麻生が居てくれたからだろう。
理由は分からないが麻生が傍にいると安心する。
これは麻生の事が好きだからなのか、はっきりと分からないが安心するのは間違いなかった。
出来る事なら傍にいて欲しい。
しかし、それ
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