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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
我愛羅
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「こいつらは……お前にとって何だ?」

 巨大な左腕で押さえつけた春野サクラと、ナルトの背後で血を吐いているうちはサスケにそれぞれ視線をやりながら、言う。ナルトは気絶しているらしいサクラと、苦悶の呻きをあげるサスケに視線を向けた。この二人を傷つけられたそのことに腹が立つ。

「こいつらは俺の仲間だってばよ! これ以上傷つけてみやがれ、てめえ、ぶっ飛ばすぞ!」

 人差し指を突きつける。我愛羅が左腕に力を込めた。

「ああぁああぁぁあぁッ!」

 気絶していたサクラはあまりの痛みに目を覚まし、苦痛に叫び声をあげる。暫くして、また彼女は動かなくなったけれど、気絶したその顔は前に増して苦しそうだ。

「さあどうした? ぶっ飛ばすんじゃないのか?」

 我愛羅の言葉に、ナルトはぎり、と奥歯を噛み締めた。許せない。大事な仲間をこんなに傷つけて。今すぐ飛び掛って、殴りつけて蹴り付けて、めちゃめちゃにしてやりたい。それくらい、腹が立つ。
 けれど。

「早く来い!」

 我愛羅の声に、ナルトは冷や汗が眉間を流れ落ちるのを感じた。ぶっ飛ばしてやりたい。それは本当だ。けれどナルトの本能は、こいつと戦ってはいけないと仕切りに警告を発する。ナルトはぐっと拳を握り締めた。仲間への感情が本能からの警告を打ち消し、ナルトは勢いよく飛び出した。

「くっそぉおおおおお!!」

 前に向かって投げ出した拳が我愛羅に届くことはない。機嫌を悪くした猫のように我愛羅が尻尾を一振りするだけでナルトは吹っ飛んだ。悪態をつきながらもむくりと起き上がる。
 ――ちくしょー、このままじゃ本当にまずいってばよ
 殺戮を愛する化け物我愛羅は、きっと容赦なくサクラを殺す。ナルトが我愛羅に撃ちかかっている隙にサスケを攻撃されてしまってもたまらない。傷ついたサスケに気絶したサクラ、そして先ほど一応ネジに点穴をおしてもらってチャクラ循環をよくしたものの、かなり多量のチャクラを吸われてしまった自分。そして化け物へと変化している我愛羅――分が悪い。
 だけど――だからって諦めるわけにも逃げるわけにもいかない。全力でぶつかるしかない。

「ぜってー皆を、皆を助けるんだってばよ!!」

 大切な大切な仲間を失いたくはない。
 全力で戦い続ける理由はこの仲間たちだ。
 しかしその言葉を聴いた我愛羅は高らかな哄笑をあげた。別に、お前らはそんなに弱いのに出来るわけないだろと嘲っているわけではない。

「他人のために戦うのか」

 彼はただ、他人の為に戦うことがひどく愚かしいと思えただけだ。

「だからお前らはその程度だったんだな。――戦うのに理由なんていらない! 勝ち残った者だけが自分の存在を実感できる……さあ、お前もお前の下らない仲間なんか忘れて、お前の
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