31真琴の危機、魔物の引っ越し
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何本も腸を首に掛けて持ち帰る二人。
「良かったですね、皆さん開放だそうですよ、所で真琴さんは?」
あれだけの熟練の術者、それも武道にも精通し、自分たちが三人集まっても勝てない、戦いに慣れた相手を、歯牙にもかけず葬った女。
見えない使い魔たちが食事をする凄惨な現場でも、嘔吐すらせず楽しげに見守った化け物。
「お嬢は逃げた、誰でも自分の身が可愛いからな」
「へえ、仲間を見捨てて一人だけで? がっかりしました。でも一週間もすればこちら側に来れます、皆さんも早く成れるといいですね」
その「こちら側」が精神的な物か、肉体的な物か、考え方なのか迷ったが、どれも恐ろし過ぎて嫌な気がした。
例え不老不死で不死身の肉体を与えられるとしても、既に人間の心など完全に失い、使い魔と同じ行動原理と価値観で動いている人外の少女。その目と真っ白な顔色は、とても生者とは思えず、獣か悪鬼羅刹の類にしか見えなかった。
「皆さんここに残りますか? 今日はここで怯えながら眠るか、それとも秋子さんの家に行きたいなら縮地で送りますよ、もちろん途中に何かいても、全部ぶっ飛ばして食料に変えてやります」
こうなるのを知っている先祖や、里の長老たちが定めた掟は、例え自分自身が処刑されるとしても正しかったのだと感じた。
親友で指揮官の少女も数日でこうなるなら、今のうちに倒すのが正解だと思えた。
「待って、私を連れて行って、もうこんな怖い思いしたくないっ、弱いままは嫌っ」
チョロインさんは考え方と人生設計を大幅に変え、栞に同行して使い魔に自ら進んで憑依され、体も心も強化される道を選んだ。
「お前……」
親戚で友人で子供の頃から一緒に修行させられた少女が、人間を捨てて化け物になると聞かされ、止めようと思うザコ1号。
「私も連れて行ってくれ、そこまで強い肉体、鋼の心、私も興味がある」
続いて付き人の少女まで「最強」を目指し、人外の化け物に憧れる言葉を発してしまい、ただ一人残って残党の襲撃を受けるのに耐えられず、こう呟いた。
「アタシも……」
後世のためにも友人や自分の体も実験台にして、伝承の一ページを書き加え、心境の変化や体の変化を詳しく書き残し、価値観の変化が体の強化による奢りから来るものか、心も穢され闇の眷属となったためかも全て記述し、里にいる祖母に託してしまえば、自分自身を見失ったとしても既に何度も失った命なので惜しいとは思わなかった。
「じゃあ皆さん、明日も学校に行くんでしたら準備して下さい。2,3日したら帰れると思いますから、下着と着替えも持って下さい」
栞は指先一つ動かすだけで三人の拘束を切り、三階の部屋まで送った。一応中を確認しても誰もいないようなので、持ち出し品を選ぶのは本人に任せた。
「あ、また集まってきましたね、私は外で片付けしてきま
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