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KANON 終わらない悪夢
31真琴の危機、魔物の引っ越し
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 そこでセバスチャンは、お嬢様が既に災厄に取り込まれ、祐一を一弥と呼ぶように何かの術に掛けられているのを確認し、電話の前にある「非常事態」ボタンのカバーを割り、躊躇うこと無くボタンを押した。
「あれ? どうしたんです? サイレンが鳴ってますよ、火事ですか?」
「ええ、災厄が起こった場合、皆様にお知らせするサイレンです、お気になさらず。まもなくご当主様や奥様もおいでになると思いますが、ご入用の品はそちらの皆様がお食べになるオードブルやパーティー用の品で宜しかったでしょうか?」
「ええ、え〜と、十人分程度お願いします」
 一弥、自分、舞と指折り数え、多めに頼んで見る佐祐理。そこで自宅で起こっている災厄とは、こちらで起こっているのと同じものなのか確認してみた。
「あの、こちらで起こっている災厄は、一弥の魔物の天使の人形さんが、お友達の「あゆさん」を蘇らせようとして、舞の魔物が夜に人の命を食べて回ったり、佐祐理や美坂さんの姉妹とか天野さんの中に魔物が入って、命を繋いでくれたり、体を強くしてくれたんですけど、その事ですか〜?」
(お嬢様ぁぁ……)
 佐祐理の言葉を聞き、胃の辺りに激しい痛みを感じ、目眩がして膝を着いて嘆き悲しむセバスチャン。
 あの愛らしかったお嬢様は、よりによって川澄の娘の使い魔に穢され、命も心も食い荒らされ、祐一様を一弥様と混同するような術の餌食になり、秋子様の家に召し出され、直接処罰を受ける寸前なのを察した。
「あ、それと「肩が凝りましたので」大きな「電動マッサージ器」もお願いします」
「畏まりました、すぐに用意させてお届けに上がります、それでは後ほど」
 その言葉で、とりあえずお嬢様は無事で、大願成就して川澄舞と結ばれた後、電動マッサージ器まで使ってお楽しみになるつもりなのだとも察し電話を切った。
「あれ? 場所を言ってないのに、爺や分かるのかしら?」
 自分が何を仕出かしたか理解していない佐祐理。秋子や真琴相手ではなく、信頼の置ける爺やだったので、いつもの天然癖が出たらしい。

(スポーツドリンクもご入用でしょうな?)
 内線で厨房に電話し、軽食やパーティー用のコーラや烏龍茶以外にも、ポカリ系の電解質とか生理食塩水に近い飲み物を「多めに」出させる、よく分かった爺や。
 今生の別れになるかもしれないパーティーを、せめて盛大で楽しい物にしてやろうと思っていた。
「何事ですっ? 非常事態のスイッチを押すなど」
 まず佐祐理の母が駆け付けたが、あの経験豊富な爺やが膝を着いてorzで嘆き、苦しそうに受話器を置いたのに驚いていた。
「奥様、災厄が起こっております。現在お嬢様は秋子様のご自宅に…… 詳しくは確定しておりませんが、お嬢様のお話ですと、川澄舞の使い魔が数人に取り憑き、もしかすると、その、お嬢様も犠牲
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