第四話「IS学園」
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いけねぇのかよ?」
一夏は少し苛立ち、強めに言い返した。
「べ、別に……」
なるほど、一夏は箒との会話にそうとう苛立っているように見える。だって、箒の喋り方が本当に怒っているかのように聞こえるんだ。
「お、アムロか?」
一夏は、振り返って入り口付近で盗み聞きしていた僕を見つけると、駈け寄って来た。
「ちょうどよかった、これから一緒に飯でも食いに行こうぜ?」
「あ、うん……いいよ? でも、篠ノ之さんは?」
「もう、用は済んだからさ!」
「そ、そうなの?」
僕は一夏に肩を添えられて学食へと向かった。ああ……どうして後ろから何らかの殺気を感じるんだろう。いい加減怖いよ……!
「嶺アムロ……!」
箒は、これまで一夏に振り向いてもらえない事を理由にアムロの背を怖い目で睨みつけた。
*
時を同じく、MS学園から派遣された教員の一人、ユーグ・クーロは職員室にて、与えられた机で代表となった生徒たちの出席簿の整理をしていた。
「……」
口を閉ざし、ただひたすらノートパソコンのキーボードを打ちこんで行く。周囲のIS学園の教師らは耳打ちし合ってユーグを蔑む言葉を背後からぼやき合っているが、彼としては眼中になく、気にせずにキーボードを黙々と打ち続けた。
「お久しぶりです、ユーグ隊長……」
「……?」
ユーグはその声に顔を見上げる。すると、目の前には出席簿を小脇に抱えた千冬がいた。
「今の俺は、隊長ではない……」
そう一言で済ませると、ユーグは再びパソコンの画面へ戻る。
「もし、よろしければこの後お話をしたいのですが……」
「すまないが、君と話す理由は無い……」
「……な、何故です?」
千冬はなぜそこまでユーグが自分を拒むのかわからなかった。
「自分の胸に聞いてみるのだな……」
「ユーグ先生? 御話し中申し訳ありませんが、こちらの書類もお願いできますか?」
そんな、中からマオが二人の間に割り込んだ。ユーグは彼女が助けてくれたと悟り、ホッとする。
「ああ、マオ先生? わかった……」
「それと、ここの学園長が先生にお話があると仰っておりました……」
「そうか、なら今から行こう?」
親しげに会話を交わす二人を目に、千冬はユーグと話すマオを妬ましく思った。
「では……」
「ああ……」
マオと共にユーグは席を立った。
「ユーグ隊長……何故?」
「申し訳ないが、あまり近寄ってこないでくれますか? パソコンのデータを覗かれたら、たまったものではありません」
ユーグはIS学園で生活を続けているアムロ達の出席のデータをただ単にパソコンへ打ち込んでデータを作っているのだが、これでも個人情報のため覗かれては困るのだ。
「隊長……」
「その名で言うなと言ったはずだ……」
ユーグは気分を害し、パソコンを閉じるとそれを小脇に抱えて
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