アインクラッド編
少女の名前
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現在アスカと少女のいる町〈トールバーナ〉は小さな街だ。
町の端から端まで200メートル程度。わずか3店の宿屋と2つのショップ、武器屋がある以外何もなく、〈始まりの街〉の圧倒的な広大さとは比べようもない。
とは言え、〈始まりの街〉と迷宮区に最も近い〈トールバーナ〉の間にいくつも点在している町も、大小様々ではあるが〈始まりの街〉に並び立つほどの広さのものはない。
アスカは〈始まりの街〉を飛び出したあと、数カ所の町に休息とアイテム補給のために立ち寄ったが、その規模はここ,〈トールバーナ〉とそうは変わらなかった。
滞在中にアスカが見かけるプレイヤーの姿は少なかった。
未だに〈始まりの街〉に留まっているプレイヤーの数が全体の3分の2以上なので、当然と言えば当然である。多くのプレイヤーは,まだ恐怖と絶望で動けないのだ。
人数が少ないことはこの〈トールバーナ〉においても例外ではない。
迷宮区に1番近く、攻略に参加しているようなプレイヤーの大部分がこの街に滞在しているはずなのに3店しか存在しない宿屋には空きがいくつもある。
現在〈トールバーナ〉にいるプレイヤーの数はおよそ100人。この人数を少ないと取るか多いと取るかは人それぞれだろう。
アスカにとっては多いと思える人数だ。
アスカにとって攻略に参加することは自ら死の淵へと近づく行為と同義だからである。
みんなのためにゲームをクリアする、などと正義感あふれる勇者にふさわしいようなうたい文句と共に攻略に参加する者の思考がアスカには理解不能だった。
何度かフィールドや迷宮区でパーティーに誘われたが,断ったのはそれが理由だ。
自分の命が掛けられている状況下で、仮想世界の知り合いに過ぎない他のプレイヤーの命を優先するなどあり得ない。
何よりも優先するべきは自分のこと。利己的に行動するべきだ。
その思考の元、行動していたアスカにとって少女と共に向かった中央広場に40人近くのプレイヤーがいたことは驚きだった。
アスカと少女は広場の集まりの一番後方に座る。
「多いな・・・・」
ぼそっと洩らしたアスカの言葉に隣に座る少女がアスカの方を向く。
その姿は相変わらず全身真っ黒。フードもしっかりと目深に被っている。
「そうかな・・・?」
どうやらアスカとは違い、少女にとってはこの人数は少ないと思えるもののようだ。
「ああ。だってこの集まりはボス戦に参加するためのものだって言ってたよな?いくらこのデスゲームをクリアするために避けて通れない道だとしても、他のプレイヤーのために自分の死ぬ可能性を考慮して、これほどの人数が集まったてことだろ?」
アスカにとってボス戦は初めてのものだが、1度目の戦闘でボスを倒せるとは思っていない。
なんせ相手は今まで1ヶ月の間に2000人
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