暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
ボス線への誘い
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
何を言うか困る状況だ。無理もない。先ほどまで年下の気の弱い男の子と思っていた黒づくめの正体は実は自分とそう年の変わりそうにない少女だったのだから。
アスカは死を受け入れようとしていたのに、余計なことをしてくれた、と文句を言おうとしていた。あくまで目の前にいる黒づくめが男だったら、だが。

「・・・・・・・」

目の前に立つ少女も隠していた正体がばれてしまい、気まずげに斜め下を向いて、視線を合わせようとしてこない。
所在なさげに長い黒髪の先っぽをくるくると弄っている。


可愛らしい容姿をしていた。
男としてはひょろっちいと思っていたが、女性なら普通だろう。
いくらコートを羽織っていたとはいえ、男であるとばれなかったのだ。胸の膨らみなどの女性らしい凹凸は少ない。
しかし、すらりと長い手足からスレンダーという言葉がよく似合うスタイルの持ち主だ。魅力がないわけでは決してなく、むしろ線の細さは多くの女性が羨ましく思うものだろう。
顔も可愛らしく、大きな黒色の目が印象的だ。きれいな長い黒髪は腰近くまで伸びている。

アスカは黒づくめの正体が少女であると分かり、いろいろと納得していた。
声が高いように感じていたのも、所々つっかえながら話していたのも当然だ。
女の子とばれないように一人称を変えたり、口調を変えることにまだ慣れていないのだろう。1ヶ月で慣れるようなことではない。
全身黒装備も女性であることを隠すためだろう。
フードの中に長い髪の毛を隠していても、戦闘で派手に動けば毛先はコートから出てしまうが、全身黒色にしてしまえば、多少黒髪が舞っても、違和感を覚えない。

頭の回転の速いアスカは瞬時にそこまで理解することができたが、1つだけ分からないことがあった。
それは、なぜこんな少女が性別を誤魔化してまで攻略の最前線、ダンジョンの最奥にいるのか、ということだ。

一般的にネットゲームをする者は男性の方が多い。それはこの〈ソードアートオンライン〉でも例外ではない。

全1万人のプレイヤーのうち、女性プレイヤーなんて1000人いるかいないかだろう。
いや、本当はもう少し多かったのだ。ログインしたての時はもう少し女性プレイヤーが多かった。俗に言うネカマだが。
しかし、ネカマのプレイヤーは〈手鏡〉なるアイテムによって性別を強制的に戻された。〈手鏡〉を使った直後の広場には女性用の服を着ている男達が、恐ろしいことに何百人もいた。茅場昭彦がデスゲームとする際に本来の姿に戻すことを決めていたのなら、最初から性別変更をできないようにしてあげていたら良かったのにと、アスカも全く思わない訳ではない。
―――閑話休題。

つまり存在すら希少な女性プレイヤーがさらに危険なダンジョンに単身挑んでいることが不思議だった。
最も長い時間ダ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ