最終章 無明編
第68話 派閥
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建前で祝いの言葉を述べる。
「おめでとうございますお嬢様」
「「「おめでとうございますぅ」」」
「ありがとう」
執事やメイドから貰える当たり前の祝いの言葉に反応しながらも進む時間の中で未だに誰も座らない『ご友人席』を見る。
用意した最高級のスープが冷めていき、パンは湿気っていくが誰にも相手にされずにそのままにしてある。
ジュースの蓋は開けられ、いつ来ても良いようにしてあるが動かす事はなかった。
扉が開いた音がして、婚后は期待に満ちた顔で振り向くがそこには正装した尊敬する父親だった。
腕に大きなプレゼントを持っている。
「光子。私からのプレゼントだ」
「わあ、ありがとうございますお父様」
あの方たちは
わたくしのお友達には相応しくなかったのですわ
そう考えてその日を終えた。
立派な自分の誘いを断るのは友達に相応しくない......そう考えてモヤモヤする気持ちを持ちながら考えないようにしていた。
現在、婚后は広い敷地を持つ常盤台中学の校舎を歩き回りながら自分の派閥を立ち上げる為に奔走していた。
しかし、人は違えど出てくる返事の意味はどれも変わらなかった。
「派閥?悪いけど他を当たってもらえるかな」
「申し訳ありません〜。わたくし〜既に所属する派閥がありますので」
「間に合ってますわ」
「あ......そう......ですか......」
断られる事はあまり想定していなかったのか困ったような表情を浮かべた。
断られる度に自分が立派な人間であるという自尊心が削られていき、去っていく背中を眺める。
そんなはずはない
自分は立派な人間である
難関とされる名門常盤台中学の編入試験をパスした過去を思い出して立ち直るとあまり顔も確認せずに行き交う学生に声を掛ける。
「ん?アイツって」
身体測定が終わったサソリは常盤台の屋上から正門近くで右往左往している注意女に首を傾げた。
御坂達とこの後に会う約束をしているので勝手に昇って休んでいる所で目に留まったらしい
「ママ達まだかなー」
傾斜になっている壁をロッククライミングでもするかのように遊んでいるフウエイ。
あまり見ない日常風景に周りの学生もヒソヒソと不快そうにその勧誘行動に嫌味を言っていた。
「なんですのアレ?」
「なんでも自分の派閥を立ち上げようと勧誘して回ってるとか」
「まったく転入したての新参者が派閥などと」
「少々生意気ですわね。ちょっとからかってあげましょう」
ショートカットの常盤台生が指先に能力を集中すると婚后の扇子がフワリと浮き上がった。
「なかなか上手くいかな......あ、あら?」
フワフワと浮かんだまま婚后の手から逃げるように空気中を漂っている扇子に困惑しながらも必死に追い掛けていく。
「
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