最終章 無明編
第68話 派閥
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。だからこそ楽しみや悲しみを分かちあえる」
思い出すかのように遠くを見つめる。
薄くなった瞳の先に懐かしさが過りだして、なんだか良く分からない感情だが会話を続けたい婚后は必死に分かる範囲の質問を考えた。
「光子にもそんなお友達できますか?」
「そうだな」
そういうと手紙を大切に折り畳みながら婚后の頭を優しく撫でた。
「桃李成蹊といって立派な人のまわりには自然と集まってくるものだ。光子が人を思い遣る気持ちを持って己を磨き続ければ自然と相応しい友人が出来るだろうた」
子供だからその真意を理解するには至らず。
立派な人や友達から自分なりの結論を捻出し、父親の考えに精一杯同調しようと躍起になっていた。
この時は初等科の最初の頃。
立派な人とは良き成績を修めている人だと解釈し、猛勉強を始める。
「あ!こないだのテストの結果貼り出されてる」
「婚后さんまた一番だ」
「すごーい」
毎回授業前の予習、帰ってからの復習など出来る限りの最大限の努力で優等生として『立派な人』になるべく頑張り誇示する。
「当然ですわ」
あとは自然に集まってくるはず
立派なわたくしの周りに集まるはずだと......
「ナッちゃんも三番だよ。あたまいー」
「えー、そんな事ないよー」
しかし学友の中で話題に上がったの冒頭部分だけ、後は仲良し同士の会話になっていく。
三位であんな事を言われるのならば
一位であるわたくしにはもっと喝采を浴びるはずだ
当然の理と踏んでいた。
きっと、立派な人には立派過ぎて話しにくいのだと思い、扇子を広げて注意を向けると。
「みなさん中々優秀なご様子」
「え?」
「あなた方をわたくしのお友達にしてさしあげますわ」
わたくしのような立派な人から声を掛けたら、きっと嬉しがるだろう。
知り合いになりたいだろう。
友達になりたいだろう。
「あ......ありがとう......」
婚后は帽子を被り直して、更にきっかけを増やしていくべくイベントの提示をした。
「あーそうそう。明日、我が家でわたくしのお誕生日会を開きますの。よろしければご参加くださいな。それでは」
婚后が居なくなってから学友達は困ったように顔を見合わせてヒソヒソと相談を始めた。
「.......行く?お誕生日会」
思いがけない誘いに困惑しているようだ。
「んー、婚后さんてなんかちょっと......」
「ねー」
悪くないんだけど......何か取っ付きずらい何か感じがして......
誕生日当日
航空業界の名門「婚后航空」の跡取り娘の誕生パーティーというだけあって大ホールを貸し切って財閥の人や有力な政治家が数多く参加する立派なものだった。
豪華な装飾に食通を唸らせる立派な食事に大人達は満足し、その場の
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