最終章 無明編
第68話 派閥
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
かつての傷跡を遺すかのように学園都市にある折れた巨大な鉄骨が剥き出しの電波塔に語り部である大人のフウエイが軽くよじ登り狭い世界を見渡す。
雲行きは怪しくなり、雨がしとしとと降り始めた。
焼け焦げた痕跡をなぞりながらフウエイは下唇を噛み締めて外套の裾を握り締めて悔しさを露わにしている。
風が強くなる。
夏にも関わらずに刺すように鋭利な風圧に彼女の髪は乱雑に乱れ始める。
「ここですね......あの忌まわしい企ては」
必死に昇って来ている観客の手を掴みながらフウエイは一筋の涙を零した。
?
観客の機微に気付いたのかフウエイは涙を拭うように指を動かした。寄れた袖から木造の人形のような線が幾本も伸びている。
「おかしい......ですよね......人形なのに傀儡なのに泣くなんて......」
「すみません......次のお話なのに......紹介しなきゃ......ですよね」
止めどなく流れていく涙を堪えながらフウエイは腫れぼったい顔で泣きながら笑う。
「ここまで読んでくれてありがとうございます......実はこの物語は次の章で最後とさせて頂きます」
フウエイは懐から出した色褪せた赤い髪の人形を眺めるとギュッと抱き締めた。
まるで何かを喪ったかのように愛おしく力強く。
「......いいえ多くは語りません......勇気ある読者様は進んでください......それでは」
赤い髪の人形の間から真っ赤に光る万華鏡写輪眼を覗かせると視界は暗転した。
最終章 無明編
暗黒が支配した夜の学園都市のとあるビルの一室に洋式便器の玉座に脚を組んで座る白髪の少年がいた。
白髪の少年の顔には幾重にも重なったような木の根っこのような面をしており、不気味な程正確に開けられた穴からは紅く光る瞳が少年の薄気味悪さを倍増している。
絶対能力進化(レベル6シフト)計画の時にトビが一瞬の隙を突いて奪い取った元学園都市第一位『一方通行(アクセラレータ)』の姿だった。
神妙な面が蛍光灯に照らされて強い影を投影している。
「さて今日の議題は固めのウンコと下痢ウンコの排泄の違いでも......」
「馬鹿な事ばっか言ってんじゃないわよ。一応トップなんだから」
グルグルの面を着けたアクセラレータにカルテで机を叩いて突っ込みを入れる黒髪ツインテールの黒ナース姿の少女が呆れたように言った。
黒髪ツインテールの少女の名前は『警策看取(こうざくみとり)』と言いゼツ一派の少なからず共鳴した大能力者(レベル4)だ。
「オイラに取ってみれば重要っすけどね〜」
「アンタの下劣さには飽き飽きするし、知らないわよ!それに今回の身体計測では面白いデータが挙がっているし」
カルテに書かれた人物を眺めるとトビに見せるよ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ