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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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になってみないと、
失う恐怖は実感出来ないようですわね?
まさか、自分達の斃した相手に、
“哀しむ者” がいないとでも想いましたの?
それともまさか、 “自分達の絆だけが”
他とは違う『特別なモノ』だとでも想ってましたのッ!?」
『ぐ……! が……ッ! ぐあああぁぁぁ……!』
 冷気の如き怒りを含んだ少女の爪が、左肩の傷口に食い込む、
執拗に捻られる麗華の棘に紅蓮の炎が痛ましく繁吹く、
精神がアラストールだったからこそ辛うじて絶叫を抑え込めた辛酸。
「自分達だけが 『正しい』 等と、思い上がりも甚だしいですわ。
正義? 悪? その絶対的な基準など、一体誰が決めるんですの?
状況、時流、宏大な運命の中では儚く(うつ)ろってしまうものなのに、
その是非を誰が量れるというんですの?
大切なものを奪われれば如何なる非道な手段も辞さない、
それはアナタ方も同じでしょう?」
 相手の言い分など一切介さず、
ティリエルは傷口から爪を放すとくるりと背を向けた。
「まぁ、良いですわ。
その答えは、アナタ方自身に出してもらいますから。
大切なモノを奪われる瞬間、その痛みを精々噛み締めることですわね?
“自分でヤる事になるのですから”
でも安心なさって。アナタ方一行スベテ屠った後は、
悔恨に浸る間もなく首を刎ねて差し上げますから。
無論貴方自身の手でね、フフフ」
 陋劣な甚振りによる愚昧な報復ではなく、
あくまで功利的な戦果の構築に基づいて選択された延命。
 マヌケな者ならその優位と昏い熱に浮かされて付け入る隙を与え、
無様に反撃を喰らう所だが 『正 義(ジャスティス)』 を従えるほどの
精神に到った今のティリエルにそのような緩みは生まれようがない。
 何よりスタンドを破る処か完全に囚われてしまっている現状、
仲間を護るために自害する事すら赦されない。
 それほどの絶望的状況、
時間すら吹き飛ばして逆行させる能力に
支配されているに等しき状態。
 裡に宿るシャナですら心が折れる寸前の悲嘆を吐き出すしかない苦境。
 にも関わらず。
『フ……フ……フ…………』
 存在力の毀壊(きかい)により噴出す炎も埋火(うずみび)程度になった
アラストールが、少女の声で微笑を漏らした。
「どうしましたの? 痛みと絶望で気でも違いましたか?」
 己が能力への信頼は揺るがずに、
尚も研ぎ澄ませた視線でアラストールを眇めた。
『青さ、故の、過ちとは、存外、認め難き、モノのようだな? 
我に、後塵を、拝させる機など、そうは、訪れぬ。
さっさと、討ったら、どうだ? 
後悔、するぞ。
このような、僥倖、む!? ぐぅ……!』
 死霊の霧が気道を圧迫し言葉を封じた。
「挑発にしても稚拙ですわね? 

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