第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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けられたままか細く漏れる少女の声、
しかしそれでもアラストールは術を解いていなかった。
記憶を失っても、飽くなき拷問に晒されても子を想う父親のように、
何が何でもシャナだけは護ろうとした。
“替わって……お願い……替わって、よ……アラストール…………”
閉ざされた意識の挟間で響く少女の声、
その選択が正しかったのか間違っていたのか、
答えを問う間もないままに終わりの一撃は振り下ろされる。
『LUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッッッッ!!!!』
動きを止めた獲物、それを怒りに燃ゆる血染めの獅子が見過ごす筈はない。
数千年にも渡り最強を誇った王が、あらゆる予見を覆し第三の伏兵に討たれる。
必然も諒承も何も無く、一つの伝説の終焉とは得てしてこういうモノ。
しかしそれが伸びてきた霧の腕に止められた、
絞るような拘引ではないが獅子の凄爪を完全に封じ込めた。
「お兄様、お待ちになって、この者……」
理性が崩壊しているためソラトは暴れるが
霧のスタンドは意図で操るように挙動を制する。
「 “人質” にしますわッ!」
(――ッ!?)
心中で嘆く少女の衝撃足るや如何ばかりか、
逆ならまだしも紅世の魔神 “天壌の劫火” を
虜囚に貶めるなど誰が考えよう、
在ってはならない、否、絶対に阻止しなければいけない事の筈だ。
「 『星の白金』 は 『正 義』 の存在には気づいていない筈。
ならば交渉の必要もありません。
霧で操って私達と交戦しているようにみせかけて、
合流した瞬間に喉元カッ斬ってやれば良いのですわ。
幾ら鋭い洞察を持っていてもまさか「味方」が攻撃してくるとは想わないでしょう。
どうやら随分と 「信頼」 し合っているようですし、
ならばその者に殺されても本望だといった処でしょうしね」
冷酷の生み出す甘い熱に酔いしれるように、
ティリエルは天使の風貌に悪魔の微笑を浮かべる。
『キ……サマ……』
――なんて卑劣な手を!
アラストールの瀕死の声とシャナの激高が外と内で交錯する。
だがそれに悪びれる様子もなく、
というより不当な糾弾を受けたが如く
少女は双眸を鋭く伏せた。
「フッ、卑怯だと、想いまして?
でも、アナタ方も私達の 「同胞」 を奪ったんですのよ?
幾人も、幾人も。
その者の本質は関係なく、“奪った” という事実が重要ですの。
まさか、 「正義」 や 「使命」 のためなら、
如何なるコトも 『正当化』 されるとは想いませんわよね?
やられたらやり返される。奪ったなら奪い返される。
因果応報、自然の摂理ですわ」
そう告げて、霧の十字架に磔られたアラストールに少女は歩み寄る。
「存外、自分の事とは解り難いもの。
“奪われる立場”
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