第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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わろうと “器” が生体のため、
その能力からは逃れられない。
『むぐ……! おぉ……!』
諄いようだが少女の躰に孔は開いていない、
あくまで「外側」だけの話だが。
この能力に関してソレは副次的なもので討究する事に意味はない、
重要なのは今の衝撃によって全身が完全に囚われてしまったコト。
元より掠り傷のみで勝利が決定する無敵のスタンド、
今の少女の惨状は、砂漠に垂らされた水、海に落ちた雫、
『正 義』 の前では殺してくれと云っているに等しい。
『ぬおぉ――ッ!?』
少女の姿の魔神が、ミエナイ糸に引っ張られるように霧で宙に吊り上げられた。
そのまま半壊した高層ビル中間を抜けていきなりピタリと停止する、
言う迄もないが全身に刻まれた傷の数だけその周辺箇所が支配される為、
感覚的には全面孔だらけになっている状態に等しい、
“紅蓮の双翼” 『大翼』 で在ったとしても無意味、
背の傷を徹してソレがそのまま操られる。
空と大地で形勢の逆転した徒の視線が重なった、
本来なら幾ら才気があろうとも格の違いが歴然としている両者、
ティリエルとアラストール。
しかしその場に介在した 『正義』 により立場が完全に挿げ変わった。
「 “Syrtos!!”」
少女の声と同時にスタンドの腕が動き、
それに連動してアラストールも引っ張られる。
グガンッッッッ!!!!
眼を覆い耳を塞ぎたくなるような壊滅と惨烈を置き去りにして、
少女の躰が比較的無傷のビル高層に敲き付けられ
そのまま三階分を貫通し後から来る瓦礫の崩落に埋没した。
「“Allemandeッッ!!” 」
ヴェグオォォォッッッッ!!!!
可憐な声とは不釣合いの強暴な回転誘導、
半壊したビルから強制的に引っこ抜かれ対面の鉄筋にそのまま敲き込まれる。
『――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!!!!』
口内を切るため声は出せない、地獄の亡者でもまだ救いがある艱苦、
それにアラストールは独りで堪えなければならなかった。
“アラストールッッ!! ダメ!! 止めて!! 替わって!! ダメよ!!”
王本体が甚大なダメージを負ったため休眠が解けたのか
心の裡で少女の悲痛な声が木霊する。
だがそんなコトは出来ない、己でも抗し切れない苦痛と呪縛なら、
尚更シャナをそんな目に晒せない。
再び抜き出され道路中央、霧を繰る死霊にゆっくりと頭上に吊り上げられ、
磔刑に架けられた
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