第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#45
FAREWELL CAUSATIONX〜時ノ雫〜
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も理解不能なる感情の暴発。
「勝手、に……!」
己の左手首に絡みつく白い指先。
「触るんじゃあありませんわッ!」
グシャアッッ!! 霧の支配下にあった左手が、
喉を潰すより速く右手にその支点を砕かれた。
絶命した蛇の如くダラリと垂れ下がった手首は、
スタンドの拘束があるとはいえ機能的に動きを停止する。
最も 『正 義』 にとってそのような事態は瑣末なコト、
墓標に眠る死体すら数万単位で操られるこの能力の前では、
一時的に逃れても何の意味もなさない。
しかし。
『――ッ!?』
ソレを熟知している筈の少女が微塵の焦慮も見せず背後頭上の死精霊を眇めた。
弱者の虚勢、愚者の蛮勇にも関わらず、
絶対的優位に立つスタンドを怯ませる一瞥だった。
「 “私に” 感謝する事ですわね。
もし少しでもこの 『爪』 に傷が付いていたなら、
幾らエンヤ姉サマの異能でも跡形もなく消滅させますわッ!」
正気と狂気、その「境目」を逸脱した精神とは恐るべきもの。
最愛の者すら惨たらしく縊り殺し、万能支配のスタンドすら眼に入らなくなる。
通常の精神状態ではティリエルほどの異能者でも
『正 義』 を操作するコトは不可能、
だが逸脱したが故に、ギリギリまで追い込まれたが故に、
大切な存在が引き金となり
無敵のスタンドを服従せしめた。
「解りまして? 二度は言いませんわよ。
私は正式にエンヤ姉サマからこの能力を与えられた。
故に私に逆らう事はエンヤ姉サマに逆らうコトと同義ですわ。
二度と造反は赦しません。
もう一度逆らえば迷わず消滅させますわ。
存在する意味がありませんから」
『――ッ!』
暴走状態あろうと、スタンドの存在理由は保たれる。
この少女は自分の 『スタンド使い』 にはなれなかったが
絶対の主、エンヤの寵愛を受けているのもまた事実。
統制下に在る以上主に弓引く事は赦されない、
故にその因果関係、心理過程は無視して法則である以上
スタンドはあっさりと少女に傅く。
「治して」
脱いだ外套を従者へ預けるように、
その風貌に似合い過ぎる所作で下された命令にスタンドが動く。
傷ついた細胞の微細な隙間から
霧が折れた内部に浸透しその破片を操作、
同時に捩じれて凝り固まった筋繊維と関節を
高速精密に反転させ梳き解す。
グギャリィィィッッ!! 尾を引かない激痛と共に
折れた骨と砕けた関節がピタリと微塵の隈なく嵌めこまれた。
回復能力ではないので完治とは言えない、
だがその力を 「応用」 する事で現状の損害を最低限に抑えた。
細胞の深奥にまで浸透して対象を操作する
『|正
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