15帰宅
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には渡さず、両親の後ろに回って給仕し、行儀が良い所を発揮しておく。姉と祐一には既に出されていたので、姉に毒入り茶を出す暇は無かったらしい。
「お忙しい中お集まり頂きまして、ありがとうございます。今日は香里さんが婚姻届までお持ちになっていますので、お嬢さんのどちらかと祐一さんの交際、話が詰められれば婚約の取り決めまでと思いますが、宜しいでしょうか?」
何でも知っていると言うか、知られている状況に驚く一同。
「はあ、病気の娘など、おこがましいとは思いますが、甥子さんさえ宜しければ、どうか、お願い致します」
秋子と祐一に精一杯頭を下げ、誠意を見せる両親と、秋子に向って頭を下げる香里と栞。
「皆さんどうぞ頭を上げて下さい。まず、お嬢さん方と祐一さんとの交際ですが、お二人同時にお付き合いするのは無理ですよね、我慢して交代で付き合いますか? それとも……」
どちらか片方、命を落としますか? とまでは言えず、子供たちに確認する秋子。
「お姉ちゃんは治ったようですので、祐一さんは返してもらいます」
当然の権利を行使する栞。ここまで姉のために祐一を差し出し、恋人が汚されるのを我慢しただけでも、両親から褒められて然るべきであった。
「嫌よ、祐一はあんたと別れて、あたしと付き合うことになったんだから諦めなさい」
強引に、物事の筋道も何もかも無視して、自分との約束の都合の良い所だけを抜き出して、無理筋の結論を導き出した香里。両親も祐一も困り顔で香里を見ていた。
「香里、お前は身を引けっ、病気も治ったんだ、これ以上贅沢を言うなっ」
父に強く言われて引くが、持ち前の気の強さを発揮して、父の約束違反をなじる。
「父さん、それ、栞と祐一には言わないでって言ったでしょ? まだ分からないんだからね、朝みたいに祐一が手を離したら、すぐ血の気が引いて真っ白に戻るんだからっ」
逆ギレしてみたが、妹からの軽蔑の眼差しと、驚いた祐一の表情から目を逸らす香里。
「お前、やっぱり治ってたんだな?」
「お姉ちゃんはそう言う人なんです」
「ええ、主治医の先生も、二人共治った原因を調べて、「学会に報告したいぐらい」と仰っていました」
「そうですか、迷信のような事を言いますが、うちの祐一さんが、お嬢さんや奥様のお役に立てたと言うことは、奥様の家系はどこか古い家の方なんでしょうか? この辺りですと、天野家とか倉田家と言った家系が有名ですが?」
「えっ、ええ、そうです、私の実家は倉田と言いますっ」
驚いて即答する母の言葉と、どこかで聞いたことのある名前がゾロゾロ出て来て祐一も驚かされる。
(倉田って、みんな佐祐理さんの親戚なのか? 天野ってまさか? でも二人のお母さんまで良くなったなんて、俺、秋子さんに言ってないぞ)
「やはりそうでしたか。何かの力があ
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