13香里VS栞
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以外、外さないでね」
「ああ」
「これも指輪の交換みたい。富める時も貧しき時も」
また涙声になりながら、自分の体を隣と隔てているカーテンで巻き、頭に白いシーツをかけ、体を白い物で覆って行く。
「また、病める時も、健やかなる時も、グスッ、死が、二人を、分かつ時まで、愛し合う事を誓いますか?」
震えながら、間近に迫った死を受け入れたような、弱々しい瞳で祐一を見上げる香里。
「…誓います」
こんな目で見つめられ、香里の現状を思えば、否定の言葉など出てこなかった。
「香里っ、あんたって子はっ」
母親にだけ見守られ、誰からも祝福されなかった結婚式の真似事。しかし、この時から母親は香里の味方になり、栞との仲を認めた夫と反発するようになった。
やがて全員が食事に出た後、シーツが整えられた病室に一人の男が訪れた。
「香里……」
教えられた部屋は既に無人で、荷物も無くなっていた。香里の部屋は一般病棟の大部屋に移動したらしい。
「香里〜〜〜っ!」
その場に崩れ落ちるように膝を着き、痛めた手を床に打ち付ける北川潤。タイミングの悪い男だった。
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