13香里VS栞
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中から、「あの音」が聞こえ、夢の姉妹対決の火蓋が切って落とされようとしていた。
「い、いや、その後は電話で名雪と大喧嘩して大変だったんだ、全然楽しくなかったよな、ははっ」
何とか論点をすり替えようと頑張る祐一。
「へえ〜、また私の時みたいに自慢話でもして、名雪さんも怒らせたのっ! そうっ、昨日はそんな嬉しい思い出が沢山できたのねっ、祐一さんに切らせた髪まで押し付けがましく渡したりしてっ、この泥棒猫っ!」
「ええ、夢みたいだったわっ、泣いてたらずっと優しくしてくれたし、さっきみたいに取り乱しても、「体中」撫で回して落ち着かせてくれたわ。目が覚めてからも世界が輝いてたから、本当に「天国」にいるかと思ったぐらいよ、祐一に「抱かれて」からは、「もういつ死んでもいい」って言うぐらい幸せだったわっ!」
自分を抱くように震えながら、祐一に愛された愛おしい体を撫でる。
「じゃあ、今死んで」
(ひいいっ!)
「それはあんたの方よ」
(うわああっ!)
ジリッ、ジリッ
二人はエモノを取り出して間合いを計っていたが、祐一クンはその中心にいたので、何となく両側から刺されちゃうような予感がした。
(いや〜〜〜〜っ!)
ビシッ! バシッ!
(終った……)
全てが終った爽快感が祐一の身を包むが、不思議と痛みは無かった。
「全く、あんた達は、「いつもいつもっ」相沢さんの前で恥ずかしくないのっ」
そこで倒れていたのは祐一ではなく、母親に張り倒されて、2つのベッドに飛ばされた栞と香里だった。
(あの、これって、いつも恒例の行事なんですか?)
ちょっと怖くて聞けない祐一クン。
「だって、お姉ちゃんが」
ビシッ!
また栞の頬を張り飛ばしたかと思えば、速攻で刃物を取り上げ、四次元ポケットの中からも残りを取り上げる。
(あの中って、栞以外取り出し不能なんじゃ?)
多分、同じ能力を持っている母。
「ほらっ、あんたもっ」
「えっ、これは昨日の記念品だから、キャッ」
腕を振りかぶった母親から、顔を庇うように手を上げた所で、昨日使ったハサミを取り上げられる。
「あっ、返してっ」
バシッ!
それを見ながら、同じ表情で怯えている父親と祐一クン、二人の友情はさらに深まったような気がした。
「昔はあんなに仲良くしてたのに、どうしてっ? それにあんた達女同士でしょっ、男の兄弟でもそんな酷い喧嘩しないわよっ」
「「はい……」」
美坂家は母親の体罰で統率されていた。そして栞の違った一面を見てしまった祐一クンは、恋心が少しだけ冷めてしまった。
その後、母親の説教が長々と続いていたが、採血の準備をした看護婦が入って来て中断された。
「いや、お恥ずかしい所をお見せしました。3月頃からこんな事が多くなりまして、最初は栞だけだ
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