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KANON 終わらない悪夢
03
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それに抱き合ってるのって、お姉さんじゃない?』
『じゃあ、あの二人、仲直りできたのねっ』
 多分、志保ちゃん情報(誰?)で、美坂姉妹の事情まで、詳細に流れていたに違いない。
『私、この時間に来て良かった』
『何かドラマより凄い』
 次第に周囲の状況が、始業式の時のように怪しくなって行った。
「「「「「おめでとうっ」」」」」
 パチパチパチパチッ!
「「あっ!」」
 また周囲から祝福の拍手に包まれる二人、ここから、学園の「愛姉妹伝説」も始まってしまった。
 たったったったったったっ
 その感動の場面に近付く、緊張感の無い足音。
「ゆーいち〜〜」
「あれは?」
「「名雪……」」
 天然ボケで、感動の場面を台無しにした名雪。
「くーーーーー」
 さらに栞から開放されていた祐一の手を、しっかり握ってから糸目で寝る。
「おい?」
「ゆーいち〜、おはようのキス〜」
 そう言って口を尖らせ、つま先立ちになる名雪。
「ゆ、祐一さんっ、「おはようのキス」って、どう言う事ですかっ?」
 あまりの言葉に、姉と体を離し、顔色を変える栞。
「違うっ、そんな事しないっ」
 ディープなキスをした覚えがあっても、よだれと目ヤニでヌルヌルの朝はキスできない。 秋子ちゃんに何を叩き込まれたのか、名雪は朝からボケまくっていた。
『えっ? キスっって、あの人従妹なんでしょ?』
『きゃっ、修羅場よ、修羅場っ』
「名雪、あなた本当は起きてるわね?」
 いつもと違い、薄目を開けて顔が正面を見ているのに気付く香里。 寝ている名雪なら心の目が開いているので、目を完全に閉じて、下を向いて全力疾走できて当然らしい。
「?おきてるよ〜〜」
 そう言いながら睡拳?の構えで踊り出す名雪、すでに女の闘いが始まっていた。
「それは美坂家への宣戦布告と見なしていいのね、ならば当方にも迎撃の用意があるわ」
 すでに不退転で覚悟完了な香里。
「でも待てよ? 名雪が来たんなら……」
 腕を上げ、時計に目をやる一同。すでに予鈴が鳴り始めていた。
「やばいっ、走れっ!」
「大丈夫っ? 栞」
「ええっ」
 姉と手を繋いだまま、群集の中を仲良く走る栞、しかし。
「運転手は君だ〜 車掌はボクだ〜〜」
 奇妙な歌を歌いながら、祐一の手を握って栞に渡さない名雪、今朝の闘いは名雪の勝ちだった?

「名雪さんって変わってるね」
(そうかい? でも君ほどじゃないよ)
「うぐぅ」
(冗談だよ、でもあの子は脱落したみたいだね、秋子さんが頑張っても、あれじゃあね)
「でも、ボクもずっと寝てるから」
(朝は弱い方かい?)
「うん」
(大丈夫だよ、今度は寝なくてもいいぐらい、強い体にしてあげるから)
「ほんとっ」
 それは夜を徘徊する魔物達のような体なのか、
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