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Blue Rose
第三十九話 認識その三

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「行ったら食べられるから」
「あと薩摩芋のアイスもいいわよ」
「ピンク色のあのアイスね」
「それに白熊もね」
 フルーツ等を入れた独特のかき氷だ、そのかき氷の盛り付けのデザインが白熊の顔に見えることからの名前である。
「いいわよ」
「あれも美味しいから」
「鹿児島は暑いからね」
 彼女達が今いる長崎よりもだ。
「冷たいものが美味しいのよ」
「だから食べてみてね」
「鹿児島に行く時があったら」
「そうしてね」
「そうさせてもらうわ、途中の熊本にもね」
 そちらもと言う優花だった。
「行きたいわ」
「あっ、熊本ね」
「あそこも確かにいいわよ」
「熊本城とか阿蘇大社とかね」
「行ってみて損はないわよ」
「震災の後だけれど」
「それでもね」
 地震の話はどうしても避けられない、地震は何時何処で起こるかわからないのが日本という国の宿痾であろうか。
「そっちも行ってね」
「福岡も面白いけれど」
「あと佐賀も行く?」
「黒猫ね」
 佐賀といえばとだ、やはりこの猫が出て来る。
「黒猫いるけれどね」
「まあこれは怪談でね」
「実際はそうしたお話はなかったらしいけれど」
「殿様にもね」
 龍造寺氏は確かに断絶し鍋島氏が跡を継いだ、だがこれは別に暗殺ではなかったのだ。確かに最後の当主は奇怪な自害を遂げたが。
「しつこいお家騒動だったみたいだけれど」
「別に化け猫が出たとかね」
「そうした話じゃないみたいよ」
「後で誰かが脚色したみたいで」
「そんなのじゃなかったみたいだから」
「黒猫はね」
 ここでも関西人として言う優花だった、このことはどうしても出てしまうことだった。男であったことを隠せても。
「何でこっちじゃ嫌われるのかは知ってても」
「関西人としては、よね」
「それは抵抗がある」
「そうよね」
「縁起がいいから」
 黒猫は、というのだ。
「基本ね」
「そうそう、関西ではね」
「優ちゃんよく言うけれど」
「黒猫はお客さんやお金を引き寄せるってね」
「縁起がいいってされてるのよね」
「商売繁盛で」
「そうよ、可愛いってね」
 黒猫自体がというのだ。
「よく可愛がられてるわ」
「そこは文化の違いね」
「関西と九州の」
「かなりの違いだけれど」
「違うことは確かね」
「否定出来ないわね」
 クラスメイト達もこのことについてはこう言う。
「黒猫については」
「本当にそれぞれよね」
「地域によって違うわね」
「同じ日本でもね」
「そうなのよね」
 優花も考える、その違いについてそうしている顔で応えた。
「そこは」
「関西じゃ黒猫は縁起で」
「こっちじゃ不吉の象徴」
「本当に違うわね」
「そこは」
「よく使い魔とか言うしね」
 欧州の話である。
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