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離れてはならない
第四章
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「親子は。特に今の様な時は」
「テューポーンから逃れる時は」
「そう。絶対に離れたら駄目なのよ」
 危機ならば余計にだというのだ。そうしなくてはならないというのだ。
「わかったわね。それじゃあ」
「うん、こうして二人一緒になって」
「逃げましょう。いいわね」
「わかったよ。それじゃあね」
「安全な場所までね」
 逃げると言ってだ。そしてだった。
 アフロディーテとエオスは帯びにより結びつけられたままだ。河を泳ぎ逃げていった。こうして安全な場所にまで何とか逃れたのだった。
 ゼウスはテューポーンを何とか倒して封じ込めてだ。騒ぎは終わった。そしてその後でだ。
 この魚の話を聞いたアフロディーテの友人であり腹違いの姉妹にあたるアテナはくすりと笑ってからだ。こうその彼女に対して言ったのだった。
「面白いお話ね。貴女がね」
「我が子を大事に思ってることが?」
「少し意外ね。それでもね」
 どうかとだ。そのアフロディーテに言う。
「貴女が愛するのは美少年や美男子だけではないのね」
「それはね。私も母親だから」
「そうね。母ならね」
「親なら子供を愛さない筈がないわ」
 例え誰と遊んでもだ。このことは変わらないというのだ。
「だからああしたのよ」
「テューポーンから逃げる時に二人一緒になって」
「帯で結びつけてね」
「そうしたことも。絶対に離れない為にね」
「親子だからね」
 親子のその愛故だった。アフロディーテはアテナに強く語る。
「そうしたのよ」
「愛の女神は男女の愛だけではないのね」
 アテナもこのことを知った。そして。
 そのアフロディーテにだ。こう言ったのだった。
「それならね。いい考えがあるわ」
「いい考えって?」
「貴女のその愛を讃えてね。星座にしましょう」
「星座に?」
「そう。そのお魚の時の姿をね」
 まさにその姿をだ。夜空に飾ろうというのだ。
「そうしましょう。それはどうかしら」
「私の今の姿でなくて?」
「そうよ。それだとこの場合あまり意味がないのよ」
「それなら意味があるのは」
「そう。貴女が自分の子供を結びつけたその姿に意味があるのよ」
「そうなるのね」
「そう。それでどうかしら」
「言われてみればそうね」
 アフロディーテもだ。友のその言葉に頷く。そうしてだった。
 納得した顔になりだ。こう答えたのだった。
「そちらの姿の方がいいわね。この場合は」
「じゃあいいわね。あのお魚の姿を飾りましょう」
 アテナは微笑みアフロディーテに告げた。
「そうするわよ」
「わかったわ。それじゃあね」
 こうしてだった。アフロディーテの魚の時の姿が夜空に
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