第一話「ガンダム」
[3/11]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
子じゃあテンションが下がるな。この調子で僕は学校へとついた。
僕の学校は徒歩で十分。何処にでもある普通の中学校だ。今年は受験シーズン。僕を除いて皆決めた進路へ向けて頑張っている。それなのに、将来さえも全く考えが浮かばない僕にとって進路なんかは二の次、三の次だった。
「はぁ……」
今朝の出来事を引きずったまま、僕は席に座ると、すぐに顔を伏せた。
「よぉ?朝っぱらからテンションが悪いな、アムロ」
「該……?」
隼人以外の友人? と呼べる人物。紫電該が僕のもとへ歩み寄ってきた。コイツは捻くれた性格の持ち主で、いろいろと悪戯をして校内を歩きまわっている。僕との関係はそれほど親しくは無いが、強いて言うならば僕の悪友だ。
「何だよ? そんなしけた面しやがって」
「お前には関係ないだろ?」
僕はムッとなってコイツから眼をそらした。時折該はこんな時の僕に嫌味を言ってきたりするので、此処は軽くあしらっておくのが手だ。
「へいへい……そりゃあ悪ぅござんしたね?」
そうヘラヘラ笑って僕から離れて行った。
それから数時間後、担任の先生が教室に現れて、生徒達を連れて三年生は校庭へと集合させた。これからバスに乗ってアナハイム社へ見学しに行くのだ。
列に並ぶ中、僕は今朝喧嘩した隼人と明沙へ目を向けたが、隼人は目をそらし、明沙は僕に気づかなかった。今思うと少し言い過ぎたのかもしれないと思ったからだ。
しかし、思っただけでは何も起こらず、僕ら一行はバスへ乗ってアナハイム社へと向かったのだ。
「凄い……ここがアナハイム社か」
そう僕は呟いた。バスで二時間程度、アナハイム社の試作MSドッグへ見学に来ている。今朝の喧嘩で胸糞悪い思いをしていたが、ドッグの試作機体を見た途端、興奮してつい忘れていた。きっと、隼人だってそうに違いないだろう。だって目の前には今まで見たこともない新型の機体がドッグに整列しているのだ。
「そういえば、アムロの親父さんってこういった新型機を作っているんだよな? 凄いぜ!」
新型機に見とれる僕の隣から、知り合いの織斑一夏がそう尋ねてきた。友人としてはそれほど付き合いは長くないが、悪い奴ではない。
「そんなに凄いのかい?」
自分から見て父親はただの男で、一人の親だからそれほど凄いとか言う思いは感じなかった。ただ、朝から深夜まで仕事を続けるため直接しっかりと話し合ったことは一度も無い。顔を見合わせることといったら月に一度の休暇の日か、一旦自宅へ戻って会社へとんぼ返りするときぐらいしかない。だから、顔もあまり見ないので自分の父親の顔を認識しづらくなってくる。失礼だと思うが、もし見学中に父親と会っても恐らく父だと認識する事はできないだろう。
僕が住んでいる地域ではMS支持派が大半だから、これを聞いて喜ばない奴は居ない。けど、逆にIS支持派という
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ