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Blue Rose
第三十八話 忍び寄る悪その十一

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「鰹のダシでお味噌汁作って。添えものでチシャサラダもね」
「本格的に」
「そうね」
「そうよね」
「そこまでなんて」
「あとオレンジも買い置きしてたから」
 これもというのだ。
「デザートで食べたの」
「栄養バランスいいわね」
「いい感じね」
「やっぱり優ちゃんいいわね」
「女子力高いわよ」
「またそう言うけれど本当に好きでね」
 だからだとだ、優花は答えた。
「やってるだけだから」
「好きっていうこと自体がいいのよ」
「レベル高いのよ」
「何か私優ちゃんと結婚したいわ」
「お嫁さんに迎えたいわ」
「女の子同士だけれどね」
「そうしたいわ」
 笑顔で話した彼等だった、そしてだった。 
 優花にだ、こう言ったのだった。
「まあそれはないけれどね」
「無理だけれどね、日本ではまだ」
「同性婚はね」
「無理だけれどね」
 法律的にだ、日本は同性愛で罪に問われた人間は歴史上一人もいないまでに寛容であるが結婚はまだ認められていないのだ。
「若し法律で出来たら」
「結婚いいかも」
「優ちゃん可愛いしね」
「奥さんにって」
「そんなこと言われても、結婚とか」
 優花は顔を赤くさせて応えた。
「まだまだ」
「先っていうのね」
「そう言うのね」
「とても」
 想像出来ないと言うがだ、クラスメイト達は優花にこう言った。
「いえ、十六になったらじゃない」
「女の子は結婚出来るのよ」
「私達も十七だし」
「だからね」
 それでというのだ。
「そろそろよ」
「そういうことも考えるでしょ」
「そういえば」
 性別が変わった、それでだった。優花自身もだった。
「私も」
「でしょ?やっぱり」
「優ちゃんもね」
「そろそろね」
「結婚ね」
「ううん、高校生だけれど」
 それでもとだ、優花も言う。
「結婚出来るから」
「そう、いい奥さんになってね」
「そしていいお母さんによ」
「いい人を見付けて」
 クラスメイト達は波に乗ったかの様に口々に言ってきた。
「そうなってね」
「それに備えて女子力さらにアップよ」
「磨きかけていってね」
「うん、じゃあね」
 優花もクラスメイト達の言葉に頷く、そしてだった。 
 そこに道も見た、女としての。もう心も何もかもが女になっていた。


第三十八話   完


                        2016・9・17
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