第十章 仮想世界
第10話 騒がしい朝
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だから。
折紙「……あなたの不注意が原因」
上条「……返す言葉もございません」
上条の異常なまでの不幸も知っていた。
折紙は一旦自分の席に戻り、筆箱の中からシャープペンシルと消しゴムを取り出して上条の机の上に静かに置いた。
上条「……サンキュー」
折紙「……例を言われることでもない」
と静かに言い残して折紙は士道のところへ向かった。
上条「(変わったよな、あいつも……)」
恐らく数ヶ月前の折紙ならこんなことはしなかっただろう。いや、そもそも話しかけてすらくれなかっただろう。
そんな事を思いながら見る視線の先では十香VS折紙の討論第二開戦が始まっていた。
上条「(いや、あんま変わってないか……)」
――――
―――
――
―
四糸乃「……み、皆さーん。し、静かにしてください。……て、転校生を紹介しますよー」
どうやらこの世界では四糸乃がこのクラスの担任の先生のようだ。 タマちゃん先生、ドンマイ。
士道は心の中で先生に励ましの言葉を送りながら、転校生の姿を見た。
もちろん或守だ。クラスの皆はその女の子の姿を見るなりかなりざわついているが、上条や士道は特に驚きはしない。転校してくる事は知ってた上に一緒に登校してきたしな。
或守が軽く自己紹介を終えたところで質問タイムに入った。そしてこの男が立ち上がる。
殿町「はいはーい!或守さんはどこから来たんですか?」
殿町だ。仮想世界でもこんなテンションなのだから再現度は本当に凄いと思う。
或守は殿町の言葉に静かに答えた。
或守「はい。それは士道の家からです」
刹那、クラスの空気が凍り付いた。
あっ、マズい。
士道は本能的にそう思った。
何秒くらい経ってからだろうか。そんな凍り付いた空気を壊したのは一人の男の怒号だった。
殿町「……い〜つ〜か〜ぁ?これはどういうことだ?説明しろぉ!!」
士道「待て、落ち着け。話せば分かる」
クラス中の視線が士道に降り注ぐ。そして殿町が騒ぎ出したことを引き金にありもしない噂話が次々と飛び出す。
「ちっ……また五河かよ……」
「なんか弱み握られてるんじゃないの……?」
「だとしたら五河君の周りの女の子全員そうかも……」
「こ、これは十香ちゃんに新たなライバル登場の予感ッ!?」
「転校生をいきなり口説くとか……」
「まじ引くわー」
「やっぱ五河君より上条君よ!」
「だよね……!あの黄昏れている感じがキュンってなるっていうか……!」
「士道の嫁は私。誰にも渡さない」
「む!?どうして貴様が士道の嫁なのだ!?士道の嫁はこの私なのだ!!」
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