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プラウダVSイズベスチヤ
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 ソ連における二大新聞は何か、と問われれば多くのソ連人はこう答えるだろう。
 プラウダとイズベスチヤの二紙であると。プラウダは「真実」、イズベスチヤは「情報」を意味している。
 そして、ソ連人はこう続けるだろう。


『プラウダにイズベスチヤはなく
 イズベスチヤにプラウダはない』





「ちょっと、この記事まだ出てないの!? 印刷間に合わないわよ!」
「レミリア書記長の特集記事が検閲から帰ってきましたー、まっくろくろすけになってますー」
「ひーん、もう10日も家に帰ってないですー」


 日付が既にかわった深夜のビルの中で、怒号が飛び交っていた。
 ここはモスクワにある大手新聞プラウダの本社。大勢の記者たちが集い、連日のように明かりが消えることのない不夜城だ。


「あやややや、皆さんお疲れのようですね」
「しゃ、射命丸編集長!」


 誰かが叫ぶと、フロアの人間が一斉に烏天狗の少女に敬礼した。
 彼女の名は射命丸文。プラウダの編集長であり、空軍の重鎮でもある。
 本人は記者の仕事が本命だと思っているが、周囲には物好きな将軍だと受け止められていた。


「えー、敬礼はいいっていってるのに」


 畏まられるのはどうも馴れない。まあ、彼女の地位を考えれば仕方がないのかもしれないが。


「満州にて某重大事件発生!?」
「そう、当局から指示を受けて私が書きました。原稿はできているので、間に合いますよね?」


 そういってにやりと笑った。


「ふふふふふ、政府情報に精通した私に勝てますかね、はたて編集長?」





「へっくしゅん」
「いかがいたしましたか、はたて編集長」
「なんでもないわ」


 誰か私の噂でもしているのかしら。プラウダの文が何か特ダネを拾ってきたらしいわね。
 わがイズベスチヤの発行部数はプラウダとほぼ互角。
 特ダネということはどうせあの人がらみの記事でしょう。
 なら、こっちも同じような記事でインパクトのあるものを書けばいい!

 
「勝つのは私よ!」





 満州某重大事件が発生!? 


 何が起きたんだ。と慌てて新聞をみたら俺が観光旅行にいったのがバレただけみたい。
 なんだよ某重大事件って。にしても、この二紙は相変わらずだよなぁ。
 

 プラウダの方は当局の情報をそのまま掲載する大本営発表だし。一応情報は正確なんだけれど、面白みがないんだよね。当局というかほとんどフランからの指示みたい。
 イズベスチヤのほうはノリがスポーツ紙だし。なんだよ、レミリア宇宙人説って。俺は宇宙人じゃないよ……転生者だけど。情報は満載なんだけれど、ゴシップばかりという体たらくである。

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