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はたらく魔王様、天使の飼い方(鈴乃やエミリアともスルものの芦屋と漆原にもオッスオッスされる話)
02鈴乃、勇者救援に出動す
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奥は多くを語らず短く締めたが、家族全員を惨殺されたり、一人生き残って復讐を果たすのがどれほどの労力と怨念を必要とするか、その復讐の果実が実るまで、大切に育ててからもぎ取り、味わうまでの感情を知り尽くしている男は、もう神々など信じることはなかった。
「私は以前からこう考えている。神々は、そんな苦痛や醜い心、復讐心を育て、その苦痛や苦悶までも集めている収穫者ではないかと」
「ええ?」
異端審問官にしては有り得ない言葉を言った鈴乃。今の言葉を聞かれれば、真っ先に裁かれる程の異端である。
「そう考えれば全ての辻褄が合ってしまうのだ。こう考えるようになった切っ掛けは、異端者が教えてくれた言葉だ、「神は人間など愛していない、俺たちを弄んで苦しめて、その苦しむ姿を見て笑っている悪魔だ」と、当時の私は何も考えず、その異端者を葬った。だが、その怨念の数々は私にも積み重なり、ついにミイラ取りがミイラになってしまった訳だ」
自らを異端だと認めた鈴乃。その表情は魔の王である真奥を信頼し、熱っぽい表情で見ていたが、自らの信仰には疑いの目しか持たず、その穢れた話が真実だと確信していた。
「復讐か…」
魔素が抜けてしまっている真奥からは、以前のような猛烈な感情も抜け落ちてしまっていた。
自分の国を責め滅ぼし、悪魔大将軍も切り捨て、異世界に逃げ出す所まで追い込んだ勇者。今こそ勇者に復讐するべき時なのだが、そんな考えが起こらず、逆にこの世界の構造を見せてエミリアにも見聞を広めさせ、それでも尚敵対するのなら、仕方ないとも思い始めている自分がいた。
それはこの世界、この国の頓珍漢な宗教観で、「神様はいる、お米一粒の中にも、俺の中にも神様がいる、あっちも神様、こっちも神様、神様、神様〜〜」と言い出す変な空間が問題なのか、米の食い物に頭が狂う変な物が入っているのか、水に毒でも入っているのか、この国の精霊信仰にも似た土着の思想は、エンテイスラ育ちには意味不明だった。
「恵美殿、勇者エミリア殿にも、この世の無常を知ってもらい、いずれ無一物の境地を悟って貰いたいところだが、この試練を乗り越えられるかどうか? 今回の壁はとびきり高いようだ」
「豆腐メンタルだからなあ」
このまま闇堕ちさせて、勇者を魔王軍に迎え入れるのも一興だが、そうなればまたエンテイスラから刺客が来たり、あちらとこちらで共通の天界からも何か来てしまいそうで困った。
(あいつの両親の馴れ初め、どんな感じだったんだろうな……)
ここからは真奥の妄想で、予知のような、クレアボヤンス能力で過去視、以前にあった出来事を集中して魔力で見た。
幼い天使を獲物として捕まえた所を押さえ付けて美しい羽根を切断、「離して」「天に帰らせて」と泣いて懇願する天上人を、下等な人間の分際で嗜虐的な薄ら笑いを浮かべ、暴力で
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