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はたらく魔王様、天使の飼い方(鈴乃やエミリアともスルものの芦屋と漆原にもオッスオッスされる話)
02鈴乃、勇者救援に出動す
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れた天使の心にはよく効いて、頭の中にお花畑を作らせ、現実には無い天国を脳内に描き出し、翼と喉笛を掻き切られていても仲間を呼ばず、縛り上げられて麻酔無しで天界で仲間と話す器官を切り離され、引き摺り出されていても尚、天上の快楽の中で愛を歌うこともできる悪魔の薬である。
 高価な薬ではあるが、猟師なら高山で天使がはしばむ薬草を見て知っていて、それを集めて擂り潰した匂いだけで天使が狂うと知っているので、水辺に置いて罠にしたり、年端も行かず経験も浅い、上の者の言いつけも守れないマヌケは罠と気付いても匂いの虜になって口にしてしまい、傷口や股間に塗られてしまうと、天使が住んでいる本当の天国とは全く別の天国までブッ飛んで、地球を七廻半してそのまま天国の住人になる。
「それ使ったら人間と、いや猟師と同じだろ? エミリアも立ち直れるさ」
 そうは言っても、豆腐メンタルがあそこまで弱いとは思わず、今回も事実を知った所で「それがどうしたの? 私の出生の秘密でも掴んで勝ったつもり? そんな出会いに文句でもあるの?」と、いつもの調子でふんぞり返り、偉そうにしてくれるのではないかと思っていたのに宛が外れてしまった。
 エミリアの行動原理「優しかった父親を殺した魔族を許さない」という第一の原理を根底からへし折ってしまったようで、復讐心から勇者となって立ち上がり、殺意によって魔法を覚え、血の代償を払って剣術を習得し、自ら鬼となって魔族を殺戮し、村も城塞も焼き払い、悪魔将軍をも惨殺した勇者。
 エミリアの立場になって考えてみれば、今までの全ての行動が無駄で誤りでしか無かった。
「あいつが生まれた時って、どうだったのかな? 本当に両親が出会って恋に落ちて… なんてのは無理か?」
 優しい父親など最初から存在せず、毒薬の匂いに釣られて罠に掛かり、毒を口にまでした年若い頭の悪い天使を、背後から弓矢で射て呼吸も出来ない状態にしてから、ゆっくり「料理」した猟師。
「この世界にもいるようだが、天や神を嫌う集団はエンテイスラにも多い。私はそんな異端を排除してきた本人だから、彼らをよく知っている。家庭環境や育ちも有るが、一番手に負えないのが何かの天災、天罰によって人生の全てを狂わされた者達だ」
 今のエミリアよりも若い天使を捕らえて力づくで犯した鬼。誘拐監禁拘束陵辱強姦妊娠出産薬物投与体液収奪羽毛収穫。女に対する暴力の全てを行使した鬼畜野郎が、何を思ってそれらをやったのか考えたくは無かったが、鈴乃の言葉は続いた。
「例えば、神の気まぐれで愛する妻や子供を奪われた男はどうなるか、それが信心深い人物だったら尚更。まず酒浸りの生活を始めて、神への憎しみが熟成される。それが呪いや悪魔信仰に堕ちるのにそんなに時間はかからない、いつでも、どこにでも有る日常の出来事だ」
「ま、俺もその一人な」
 真
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