第三十八話 忍び寄る悪その二
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「そこはね」
「仕方ないということで」
「わかってね」
「それで観に行けばいいですね」
「そうだよ」
岡島は優花に微笑んで話した。
「まあそこはそういうことで」
「はい、それでもですね」
「自衛隊を観に行くこともね」
「いいことですね」
「日本の国防のことを知ることも勉強だから」
「それも凄くいい勉強ですね」
「その通りだよ、行くといいよ」
是非にとだ、岡島はさらに言った。だが。
彼もだ、ここで暗い顔になって優花にこう話した。
「ただね、自衛隊に批判的な人もね」
「いますね」
「そうした人達も佐世保に来ていて」
そしてというのだ。
「自衛隊の基地の前とかで騒いでるんだよ、護衛艦が動いてるとわざわざボートまで出して」
「近くで、ですか」
「抗議しているんだ、海にね」
護衛艦が出るその時にというのだ。
「これでもかっていてね」
「そんなに多いですか」
「あちこちから集まるんだよ」
岡島は眉をやや顰めさせて優花にこのことも話した。
「日本のね」
「九州だけじゃなくて」
「本当に集まるんだよ」
日本中からというのだ。
「横須賀とか厚木もだけれどね」
「それで抗議しているんですね」
「沖縄と一緒だよ」
テレビに映っている沖縄だ、基地の前で騒いでいる『市民』達がだ。
「物凄い数になってるから」
「学校の先生とかジャーナリストとか」
「そうした職業の人達が多いね」
「そうですか」
「それと得体の知れない」
「得体の?」
「仕事が何かわからないけれど」
定職が不明だというのだ。
「いつも抗議活動をしている人達もいるから」
「ええと、平日でも」
「そう、沖縄がそうだね」
「そういえば」
沖縄の基地反対の報道、優花はこれを思い出した。平和を叫び基地の前で集まっている彼等は平日でもかなりいる。
その彼等についてだ、優花は岡島に尋ねた。
「あの人達も」
「そうだね、平日からいるね」
「そうですね」
「普通の人は働いてるね」
平日の昼なぞだ、常識で考えてそうした場所に大勢いないということだ。
「それがだからね」
「何か生活も」
「色々と不思議な人達だね」
「平日のお昼にそうしたことをしていても生活が出来ている」
「いつもいる人達もいるから」
平日の昼からだ。
「生活費とかね」
「不思議な人達だね」
「言われてみますと」
「お金の出処がわからない」
このことをだ、岡島は指摘した。
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