暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十六話 キレるほどに恋してる
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。

母さんは元帥に甘い、母さんだけじゃない、クラスの女の子達も似た様な事を言ってた。言っておくけど元帥は敵なんだ。シャンタウ星域で大勢の同盟軍人を殺した敵なんだ、気を許しちゃいけない。でもそれを言うと“あんただってユスティーナには甘いじゃない”って言い返してくる。全く分かってない、彼女は帝国人だけど軍人じゃない、ごく普通の女の人じゃないか。

新郎新婦が神父の前に行くと神父が誓いの言葉を言い始めた。でもなんか変なんだよな、この神父、どっかで見たことが有る……。そう思った時だった、解説者が自信なさそうな声で神父が陛下に似ていると言いだしたんだ。

そうなんだよ、凄く似てるんだ。母さんも似てると言いだした。例の勅令の時に見たけど、あの時の皇帝は威厳が有って格好良かった。神父はニコニコしてるからちょっと気付かなかった。あの時と感じが違うけど凄く似ている。

式が進む中、母さんと僕の間で言い合いになった。僕は皇帝だと言ったんだけど、母さんは皇帝じゃないって言うんだ。解説者はどっちつかずだった、優柔不断な奴。でもやっぱり皇帝だった。神父は誓いの言葉の後こう言ったんだ。

“ここに二人は目出度く夫婦となった。予、銀河帝国皇帝フリードリヒ四世はそれを認め、それを祝福するものである”。それを聞いた時は僕も母さんも呆然として顔を見合わせた。僕だって本当に皇帝だとは思わなかったんだ。多分そっくりさんが演じているのかと思ってた。でもそうじゃなかった。

“ジーク・ライヒ!”
“ジーク・カイザー・フリードリヒ!”
唖然としていると参列者がいきなりシュプレヒコールを始めた。恰好良い! 僕は同盟の人間だけどこういう時は帝国って恰好良いなと思う。同盟ってこういう掛け声みたいなのって無いんだよね、盛り上がりに欠けるよ。何か良いのないのかな?

シュプレヒコールを聞きながら母さんが“これで元帥は離婚できなくなっちゃったわね”と言った。僕も同感、皇帝の前で誓ったんだから離婚は出来ない。花嫁さん、可哀想。あんな最低な男のお嫁さんになって、おまけに離婚も出来ないなんて。多分これもヴァレンシュタイン元帥の策謀に違いない、皇帝の前で誓う事でユスティーナが離婚できないようにしたんだ。最低の奴だ、ユスティーナ可哀想。

母さんは“私もこんな結婚式をしてみたかった”なんて言ってるけど同盟に生まれたんだからそんなの無理だよ。でも同盟でやるとしたらトリューニヒト議長が神父になるのかな? うーん、恰好良いけど皇帝には負けるよ、残念!

シュプレヒコールが終わると賛美歌を歌いだした。パイプオルガンの音色が凄い厳かで何ていうか、神聖な感じがした。結婚式はやっぱりこうじゃなきゃ……。最近の式場では電子オルガンを使うところが多いらしいけど雰囲気が出ないよ。

演奏している
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ