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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第59話 冤罪事件・解決
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方へと盛大に転んだ。

「調子にノンな! ボケが!!」
「つくねーー!」

 つくねとモカが絡まりながら倒れた。

「きゃああっ!」
「うわああっ!」


「死にたくなけりゃあな……、モカさんから手ぇー引けや。なぁ? つくね君……」

 ゆっくりとした足取りでつくねの方へ近付く。
 そして。

「さっさと去ねやァ!!!」

 その声と同時に走り出したのだ……が。
 つくねの元へは行けなかった。

 なぜなら……、ツルッ! と。

「ななな……!! なんや?? なんで床が滑っ!!! ギャン!」

 ギンは、そのまま滑って行き屋上のフェンスへ激突した。人狼(ウェアウルフ)の移動速度のそれはかなりの速度だ。つまり、その速度のまま、鉄のフェンスに正面衝突したから。

「……痛いよな。うん。顔面衝突だし、そりゃもう……」

 床に手をつけたカイトが、決して皮肉じゃなく実際にそう感じながら言っていた。
 ただ、足止めのつもりで転倒()けさすだけの筈だったのだが、思った以上の効果を生んだから。
 でも、そこは妖怪だ。普通の人間なら下手したら顔面骨折、とかありそうだけど、頑強であるから、大丈夫そうだった。

「てめぇ……か? カイト…… いったい何したんや!! っ、これは……、氷?」

 屋上の床をよく見てみると、コンクリートの筈の床の筈だったのだが、氷が張っていたのだ。まるで、スケートリンクの様に。

「いやぁ、ツルっ、と滑ってもらおうかと思ってな。 頭に血が上りすぎだから回りが全然見えてないんだよ? ギン先輩。ちょっと頭冷えただろ? 要望があれば、もう一度、しようか? 今度は頭の上に」

 これは皮肉をたっぷりと込めて、掌に氷の塊を作り出した。
 直接冷やすのであれば、それが一番だろう。

「てめぇ、なめよってからに……!」

 ギンは鋭い目で睨みつける。
 一触即発な展開だったが、それを打ち破る者が現れる。

「わーいっ! カイトかっこいい♪」

 それは、くるむである。
 勢いよく、カイトに抱き着いたのだ。

「って、わぁー!!」

 むにむにむにっ! と豊満な胸をカイトの顔に押し付けてぎゅっ、と抱きしめる くるむ。
 いつも通り、と言えばそうなのだが、やっぱり 息が出来ない。

「っっっ!!(息ッ! 息ッ!! またこれ!!)」

 さっきの緊迫していた空気はどこに行ったのだろう?
 顔が赤くなる……けれど、それ以上に苦しい。女の子の胸の中で死ねれば幸せ……と、言うのはある意味、迷信だと言える。いや、ほんと。

 そんな光景を目の当たりにしたギンは、と言うと。

「う……、な……、う……」

 ワナワナ、と体を震わせていた。
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