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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第一話 因縁のある者達の再会
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てて起き上がる。その時に全身に痛みが走り思わず顔を顰めてしまうが、今はそんなことを気にしている余裕などなかった。榛名にとって夕立は自分の命よりも大切な存在だ。その夕立に何かあったら、榛名は耐えられない。
榛名が痛みを我慢して立ち上がると、榛名の隣の入渠ドッグに夕立が一糸纏わぬ姿で寝かされていた。その顔は榛名でもここ10年見ていなかったほど穏やかなものだった。

「よかった…………」

夕立が無事であることを確認した榛名は安心したようにそうつぶやく。そして夕立を起こさないようにゆっくりと静かに入渠ドックから出ると、扉を開けて脱衣所に入る。
脱衣所の洗面台の鏡に映った自分の姿は、治ってはいるものの所々に傷があり、頭にあるはずのカチューシャはなくなっていた。
また、棚には榛名と夕立の下着はあるものの服は無く、代わりに大小の病衣が一着ずつハンガーに掛けられており、下には大小のサンダルのようなものが一足ずつ置かれていた。

(とりあえず、これを着ればいいのでしょうか………?)

榛名はそう思うと、立派な胸部装甲ににさらしを巻きショーツをはく。下着を身につけると大きい方の病衣を手に取り、袖に腕を通した。
そしてサンダルのようなものを履くと、榛名は脱衣所から出て長い廊下を出た。

(どこかの鎮守府なのでしょうか………?)

榛名は周囲を見回しながら廊下を歩くが、どういうわけか壁や床は薄汚れており、所々にヒビが入っていた。そして一番気になるのは、人の気配が全くしないことだった。もしここが鎮守府なら少なくとも艦娘や提督がいるはずである。しかし、ここには艦娘や提督がいる気配が全くしない。文字通り、ここは『廃墟』のような場所だった。
だがここが廃墟だとすると、今度は別の疑問が浮かび上がってきた。それはーーーー

(一体誰が榛名達を助けてくれたのでしょうか?)

一体誰が榛名達を助けたということである。見てわかる通り、この鎮守府と思われる場所は間違いなく廃墟なのだが、入渠ドックはどう見ても『誰かが動かしている』ようにしか見えない。
そのことからこの廃墟には間違いなく何者かが住んでいる。
榛名はその何者かがいるであろう場所を探すことにした。

(榛名達を助けてくれた人がいるとしたら、執務室とかでしょうか?)

榛名はそう思ったが、この廃墟の構造を知らないためどこに執務室があるのかを知らない。そのため、その人物を探しようがなかった。

(一体どうしたものでしょうか………)

そう思った榛名は、ふと窓の外を見た。窓の外は青い海が広がっていた。どうやらこの廃墟は小高い丘の上に建っているようだ。
そしてその海に繋がる堤防に人影のようなものがあることに気がついた。
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