暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十五話 華燭の宴 
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
…、頭痛いよ。ジジイども、政務そっちのけで悪巧みに熱中したに違いない。少しは仕事をしろ! 俺を見習え!

まあそれはともかくフリードリヒ四世の神父はなかなかのものだった。“その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?”なんておごそかに訊いて来る。

こういうのはやはり皇帝としての経験なんだろうな。俺なら恥ずかしくてとても言えないよ。指輪を嵌めてキスをするとフリードリヒ四世は満足そうに頷いて“ここに二人は目出度く夫婦となった。予、銀河帝国皇帝フリードリヒ四世はそれを認め、それを祝福するものである”と宣言した。

宣言が終わるとどういう訳かシュプレヒコールが起こった。
“ジーク・ライヒ!”
“ジーク・カイザー・フリードリヒ!”
……何でだ? 何でそうなる、俺の結婚式だろう……。頭が痛いよ……。皇帝は満足そうだし一番前で泣きながら声を出しているのはミュッケンベルガーだった。訳わからん……。

その後で賛美歌三百十二番を歌ったのだがこれがまた凄い。伴奏はメックリンガー、聖歌隊にはどういう訳かビッテンフェルトが居る。あの肺活量で朗々と賛美歌三百十二番を歌うんだ。奴は職業を間違ったな、オペラ歌手にでもなれば帝国一の歌い手になれただろう。しかし、メックリンガーの伴奏でビッテンフェルトが歌う? 原作じゃ有りえん話しだ。

式が終わった後は披露宴だったがこいつもまたとんでもない披露宴だった。主賓はなんとハインツ・ゲラーだ。平民であるゲラー夫妻が皇帝フリードリヒ四世、国務尚書リヒテンラーデ侯と同じテーブルに着いている……。

わざとだな、平民と皇帝が同じテーブルで歓談する。それを全銀河に流すことで帝国は変わったという事、フリードリヒ四世の気さくさをアピールするのだろう。なかなか上手い手だ。でもな、おかげでゲラー夫妻は緊張しまくりだった。可哀想に……。

司会は宮内尚書ベルンハイム男爵、乾杯の音頭はフリードリヒ四世だった。ベルンハイム男爵は緊張して何度もつっかえるし、リヒテンラーデ侯はその度に冷やかして皇帝は笑い出す始末だった。この有様を見たらどう見てもその辺のサラリーマンの集まりにしか見えないだろう。わざわざ放送する必要が有るのか何度も疑問に思ったよ。

余興も凄かった。艦隊司令官全員で歌を歌うとか最初は冗談だと思った。しかし冗談じゃなかった。またまたメックリンガーの伴奏で皆が歌を歌った、メルカッツ提督もだ。アイゼナッハもいたけど多分あれは口パクだろう。後で念のため本当に口パクだったかどうか隣にいたロイエンタールに聞かなければ……。

しかしね、歌がフェザーンのアイドルグループの歌ってなんだよ。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ