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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十五話 華燭の宴 
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はいかん。軍を縮小し国家を正常な形に戻さなければならない。つまり兵を除隊させ民間に戻すわけだが、当然彼らの受け皿が要る。それが辺境なんだ。

辺境を開発し経済を活性化させる。それによって仕事を作り出す。除隊した兵士から希望者を募って辺境への入植を勧めるのも一つの手だろう。彼らが安心して暮らせるだけの社会環境、経済環境を作らなければならないんだがその辺りが官僚達は理解できていない。戦争が終わるという事が理解できないのかもしれない。百五十年も戦争をしているのだ、止むを得ない部分は有るだろう……。

結婚式前に開発計画書の策定だけでも片付けたいのに全然進まない、そのうち辺境からはどうなっていますかと問い合わせが来る。クラインゲルト子爵は結婚式では良いお話が聞けますかとか露骨に圧力をかけてくる始末だ。うんざりだった。

結局やる気のない奴をあてにしても無駄だと思ったから官僚どもは皆帰した。宇宙港の拡張も発電所の建設も兵站統括部にやらせれば良い。大事なのは先ずはそれを実施する事だ。帝国が本気で辺境を開発しようとしていると皆が認識するだろう。

後はフェザーンを利用する事を考えよう、連中の資本を帝国に引き摺り込む形で開発を進めるんだ。ペイワードが同盟寄りの姿勢を示してもフェザーンの財界が帝国との対決を嫌がればそれだけでペイワードと同盟を困惑させることが出来るだろう。そこまで行けば官僚どもも協力するはずだ……。

そう思ったんだがな、事態は俺の知らないところで動き出した。俺はエーレンベルクに政府は当てにならんから兵站統括部を使うと報告した。あそこは軍務省の管轄だから一応断りを入れたわけだ。爺さんは眉を動かしたが何も言わなかった。問題なし、そう思っていたんだがそうじゃなかった。

三十分もしないうちにリヒター、ブラッケ、シルヴァーベルヒ、グルックが宇宙艦隊司令部の司令長官室に飛び込んできた。全員額に汗をかいている。いきなり“申し訳ありませんでした”とリヒターが言うと皆が頭を下げた。俺もびっくりしたが周囲もびっくりした。ヴァレリーはブラスターを抜いて身構えていたくらいだ。

連中、頭を上げるともう一度“申し訳ありませんでした”と謝った。そして俺に改めて協力させて欲しいと言ってきた。宇宙港の拡張は運輸省に、発電所の建設は工部省にやらせて欲しいとグルックとシルヴァーベルヒが泣きそうな顔で懇願するんだ。

話しを聞くとどうやらエーレンベルクがリヒテンラーデ侯に話しが違うと文句を言ったらしい。驚いたリヒテンラーデ侯はリヒター達を呼び出して叱りつけた。叱られたリヒター達は馬鹿な部下達を全員首にして俺の所に駆け付けたと言う訳だ。どうやらあの部下達はリヒター達にはちゃんと協力していますと報告していたらしい。舐められたもんだよな、俺もリヒター達も。

まあ
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