第三十七話 生まれた陰その十三
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「ここまで来てくれて」
「それで一緒に遊んだのね」
「ハウステンボスで」
「そうしたのね」
「二人で」
「そうしたの、一緒に色々な場所回って」
優花はにこにことしてさらに話した。
「楽しかったわ」
「それはよかったわね」
「優ちゃんにとってもう久し振りの」
「お友達との時間だったのね」
「そうだったの、だからね」
それでというのだ。
「今も思い出して」
「それでなのね」
「今もうきうきしてるのね」
「そんな漢字になってるのね」
「そうなの、また一緒に遊びたいわ」
本音でだ、優花は語った。
「今度は佐世保市に行くつもりだけれど」
「ああ、街の方に行くの」
「海自さんの基地がある」
「あそこに」
「そのつもりなの」
こうクラスメイト達に話した、だが。
ここでだ、クラスメイト達はこれまでは優花に笑顔を見せていたが急に真剣なしかも曇った顔になってだった。
お互いに顔を見合わせてからだ、優花に言った。
「気をつけてね」
「休日に行く時はね」
「あそこには衝夫結構行くから」
「会わない様にしてね」
「あの先生も行くの」
佐世保にとだ、優花はクラスメイト達に問い返した。
「佐世保に」
「あいつ人権とか平和とかね」
「そういう活動してるの」
「変に自衛隊嫌いで」
「そうした組合にも入ってて」
日教組だがクラスメイト達はまだ日教組のことを詳しく知らないのでこう話すだけだった。
「それで佐世保にもよく行ってるの」
「教え子を戦争に送るなとか戦争反対とかね」
「アメリカ軍にも言ってるし」
「平和平和って叫んでるの」
「実際はそんなのとは全然無縁だけれど」
衝夫の日頃の行いはというのだ。
「本当にね」
「何処が平和や人権よ」
「いつも生徒罵って殴ったり蹴ったり」
「完全に嘘っぱちよ」
実際の衝夫を見ているとそうとしか思えないことだった。
こう話してからだ、クラスメイト達はあらためて優花に言った。
「あそこ自衛隊の街だから」
「そうした人達も群がるけれど」
「衝夫もその一人なの」
「他には怪しいお仲間も一杯いるから」
「だからね」
「行く時は気をつけてね」
「わかったわ」
優花も笑顔で応えた。
「それじゃあ」
「ええ、本当にね」
「ああした奴は一番厄介だから」
「セクハラの噂あるから」
「それもかなり酷いのが」
「全部揉み消してるらしいけれど」
「とにかくとんでもない奴だから」
関わるだけでも厄介だというのだ。
しかしだ、佐世保市についてはだ。クラスメイト達は明るく言った。
「いい街よ、街自体は」
「静かでね」
「自衛隊の人達紳士ばかりだし」
「凄く物腰が穏やかなのよ」
「護衛艦格好いいしね」
「制服もね」
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