第47話『ボス戦』
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るはずだ。
自分より強い相手に喧嘩を挑むのは、どこの世界においても自殺行為。この場合、そのまんまの意味で。
もう、助かる道がないのか……。
「…お前、人を殺して何も思わなかったのか?」
晴登は無意識の内に喋っていた。
明確な意図はない。強いて言えば、死ぬまでの時間稼ぎだ。
ただ、思った疑問を口にしただけ・・・
「当たり前だろ。この王都さえ征服できればいいんだから。人なんて余計な存在は消して当然だ」
「それ、本気で言ってるのか…?」
「ああ」
それを聞いた晴登の中の、何かが弾けた。
「お前、命を何だと思ってるんだよ」
「命は大切なものだよ。ただ、不必要な命だってこの世には有るんだけど」
「不必要な命なんかある訳ないだろ! お前が今殺そうとしている人たちの命は、不必要なんかじゃない!」
「どうしてさ。ボクの計画に、その人々は不必要だろう?」
「世界はお前中心に回ってるんじゃないんだよ! 不必要とか、お前が勝手に決めていい訳が──」
「いいんだよ」
突如、空気が凍りつく。晴登はそれに気圧され、言葉をつまらせた。
あいつの目の色が……変わった。
「御託はここまでだ。もうキミとはお別れしよう」
「…っ!」
淡い青の光が渦巻く掌を向けられ、晴登は金縛りにあったかのように動きが止まる。明瞭な殺意が全身を縛っているのだ。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい…!!!
「じゃあね」
青い光が輝きを増していく。
そしてそれは、次第に晴登の視界を埋め尽くしていった。
遅れて感じたのは、そのまんまの意味で身も凍るような寒さ。触覚が機能を失っていく。
そして更に、鳴り響く轟音。鼓膜が張り裂けそうだった。
その音に伴う、風のような衝撃も平衡感覚を狂わせてくる。
何も見えない。何も感じない。何も聴こえない。
それなのに、光と音と寒さに身体中が蝕まれていくだけはわかった。
意識が遠くなっていく。
酸素が足りなくなり、まるで海の底へと溺れていく感覚だった。
呼吸がままならない。吸ったところで、吹雪を取り込むだけだった。
もはや無重力空間。上も下も、何もわからない。
眩しい。怖い。
寒い。怖い。
痛い。怖い。
辛い。怖い。
苦しい。怖い。
切ない。怖い。
恐い。怖い。
怖い。怖い。怖い。怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
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