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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十三話 今日は……
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「承知しました」

「それとわたしの艦隊はワルトハイム参謀長にお願いします。参謀長自身の研修の申請もするようにと」
「はい」

「レンネンカンプ提督とシュトックハウゼン提督にはオーディンに戻ってからでよいと伝えてください」
「はい」

とりあえずこれで良い。また書類が増えるな、何時になったら書類が無くなる日が来るのか……。眼の前の未決箱には書類が十センチ以上積み上げられている……。今頃ミッターマイヤーがロイエンタールに文句を言っているだろうな、酷いじゃないかと。

司令長官室の女性下士官達もレンネンカンプの事を親しみを込めて“髭のおじさん”と呼んでいる。注意すべきかとも思ったが悪意を込めて呼んでいるのではないからな、それに度が過ぎればヴァレリーが注意するだろう。という事で俺は放置している。

原作のレンネンカンプは不運な男としか言いようがない。レンネンカンプがラインハルトと出会ったのは比較的早い。ラインハルトが少佐でレンネンカンプが大佐の時だ。レンネンカンプがラインハルトを不当に扱ったことは無い。しかしラインハルトが元帥府を開いた時、その傘下にレンネンカンプが呼ばれることは無かった……。

屈辱だっただろう、レンネンカンプが自分に自信が無かったとは思えない。何故、自分が選ばれないのか、そう思ったはずだ。リップシュタット戦役後、レンネンカンプはラインハルトに服属するが、その心境は単純なものではなかっただろうと俺は思っている。

次の書類は何だ? 前回の内乱で鹵獲した艦の売却金の報告書か。軍艦としても使えないし輸送艦としても使えない奴だな。多分解体屋がバラして部品単位で売るか、再利用するんだろう。……大丈夫かな、不正とか無いだろうな。

以前は貴族達がこの手の不正に絡んでいた。つまり平民は関与出来なかったんだが、貴族が没落したからな。今は平民がこの仕事に絡んでいるはずだ。危ないな、一度キスリングに調査を頼むか……。とりあえず、この書類はサインしておこう。既決だ。

レンネンカンプはラインハルトの配下になってからは不本意な日々が続いたと思う。周囲の同僚に比べて明らかに武勲が足りない。生真面目な彼にとっては気が引けただろうし苦痛だっただろう、レンネンカンプが戦術的な勝利に拘る様になったのもそれが有るのかもしれない。

そして戦場に出てからも不運は続いた。ヤンを相手にしたため敗戦続きなのだ。相手が悪かったとしか言いようがない。せめて本隊に配属されていればランテマリオ星域の会戦で武勲を挙げられたはずだ。そうであれば多少は精神的にも楽になっただろう。

そして最後は高等弁務官だ。自分がその職に向いていないという事はレンネンカンプも分かっていただろう。ラインハルトがどういう考えで自分を選んだか、疑問に思ったはずだ。まさか
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