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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十三話 今日は……
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休暇の取得願か……、ケンプだな。多分家族サービスかなんかだろう、結構子煩悩だからな。まあ今の時期なら問題ない。皆ずっと働き詰めだったんだ、リフレッシュは必要だ。サインをして既決の箱に入れる。

これからシュトックハウゼンは艦隊訓練に出かける。元々シュトックハウゼンの艦隊はラインハルトが鍛え上げた艦隊だ、練度は問題ない。あとはシュトックハウゼンが艦隊に慣れるだけだ。そこでレンネンカンプがそれに同行し、訓練に協力することになっている。

妙なんだよな、レンネンカンプが妙に良い奴なんだ。今回のシュトックハウゼンの訓練にも自分から手を挙げて協力を言い出したし他の艦隊司令官達とも仲良くやっている。原作だと妙に堅苦しくて、ギスギスした感じの中年男なんだが、とてもそんな風には見えない。

シャンタウ星域の会戦では俺の指揮下に居たんだが武勲を挙げる事に拘る事もなかったし周囲と張り合うようなこともなかった。ケンプとは特に仲が良いみたいだ、二人とも年長者だし実戦派だからな、気が合うのだろう。この世界のレンネンカンプは実直で頼りになる指揮官だ。

未決の箱からまた書類を取った。今度は何だ、ロイエンタールから出ているな、来年度の研修か。ベルゲングリューンに艦隊司令官研修を受けさせたいか……。良いんじゃないかな、今奴は中将か、問題無い、サインしてこいつも既決箱行きだ。

艦隊司令官研修って必須だよな、分艦隊司令官はともかく艦隊司令官は必ず受ける必要が有るはずだ。俺、ずっと兵站統括部にいたから受けてないな。こういう場合、どうするんだろう。今から受けるのか? 何かそれも変だな。

……待てよ、ビューローはどうした? あいつら殆どキャリアは一緒だよな。片方が研修を受けてもう片方は無しか? それは不味いだろう、ミッターマイヤー。念のため未決箱を漁ったがミッターマイヤーから申請書は出ていない。いかんな、TV電話でミッターマイヤーを呼び出した。

「ミッターマイヤー提督、ビューロー中将に艦隊司令官研修を受けさせる予定を入れていますか」
俺の問いかけにミッターマイヤーは目をパチクリさせた。こいつ考えてないな。
『いえ、入れておりませんが』

「ロイエンタール提督より来年度、ベルゲングリューン中将に艦隊司令官研修を受けさせたいと申請書が出ています。どうしますか」
『ロイエンタールからですか……。分かりました、こちらも至急申請書を出します。御配慮、有難うございます』

通信を切った、こういうのは上位者から切るのが礼儀だからな。俺が切らないとミッターマイヤーは何時までもTV電話の前に居なければならん。さてと、ミッターマイヤーだけの問題じゃないな。

「フィッツシモンズ大佐」
「はい」
「各艦隊司令官に来年度の研修の受講申請を早急に出すように伝えてください
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