File.2 「見えない古文書」
\ 6.15.AM.9:21
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居るんだよ…。 -
- 今更…今更…今更…! -
「これはまずい…。伯母様、早く結界を!」
「言われんでも分かっとるわい!」
二人はそう言うと懐から護符を出し、何やら呟いて空中へと放った。すると、それは一斉に光を放ちながら広がった。だが…程無くして蒼白い炎に包まれたかと思うと、それらは灰となって四散した。
「こりゃ…なんちゅう怨念じゃ。まぁ、男なんぞに夫を寝とられちゃ、女もこうなるわいなぁ。」
「何を暢気なことを言ってるんですか!?あれをどうにかしないと、それこそ惨事になっちゃうんじゃないんですか!?」
暢気に構えているキヌさんに、私は慌ててそう言った。だが…キヌさんはそれに答えることなく、櫪氏のもとへ行って言った。
「夏希。ありったけの札を寄越せ。」
「伯母様…どうなさるおつもりですか?」
「良いから、早ぅせい!」
キヌさんに急かされ、櫪氏は渋々懐から護符を出し、それをキヌさんへと渡した。そうしてキヌさんは、私達へとこう言ったのだった。
「わしがこやつらをどうにかしとる間に、お前たちは上に行っとれ。」
「キヌ伯母様、それは…」
「時間が無いのじゃ!早ぅ行かんかい!」
キヌさんは今まで見せたことのない険しい表情をし、私達をこの場から退かせようとした。
「相模君。さ、行くよ。」
「しかし…。」
「足手纏いと言われたんだよ。何か策があるようだから、私達は大人しく従おう。伯母様のことだから、きっと大丈夫さ。」
そう櫪氏は言ったが、その言葉とは裏腹に、彼は何処と無く悲し気な表示をその顔に滲ませていた。
私がもう一度キヌさんを振り返ると、キヌさんはとても穏やかな表情をし、私に「気ぃつけて行くんじゃぞ。」と一言だけ言った。だが、私はその一言に何か寂しさを感じたが、櫪氏に促されるままキヌさんに背を向けて駆け出したのだった。
私達が駆け出した刹那、キヌさんは大声で何かを叫ぶと、周囲の禍々しい気があの骸骨へと集中して行くのが解った。そこからは様々な声が幾重にも響き、私は気がおかしくなりそうだった。
櫪氏と共にあの縄梯子を登って上へ出ると、櫪氏が「早く館からでるよ!」と叫んだため、彼に続いて急いで如月家から脱出した。随分と走ってから私達が後ろを振り返ったその時…轟音と共に、あの美しい如月家が崩壊したのだった…。恐らく、あの大空洞の天井に力が加わり、如月家の重さに耐えきれなくなったのだろう。
「キヌさん…。」
崩れ逝く館を見ながら私が呟くと、櫪氏が私の肩に手を置いて言った。
「伯母様は、最初からこうなることを知ってたんだ。だから…僕等を下がらせたんだよ。」
「だったら…何故キヌさん自身は…。」
私が振り向いてそう問うと、櫪氏は静かにこう答えた。
「前にも言ったが、伯母様の力は強いんだ。強すぎたため
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