贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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んなことで、貴様が殺した父や母が…村の皆が帰ってくると思っているのか!?」
「アニエス!」
やめてくれと懇願するように声を上げるキュルケだが、アニエスは聞く耳を持たなかった。
が、そのとき…アニエスはコルベールの首筋に何かを見つける。
「…そのやけどは…!まさか…」
アニエスはダングルテールでの最後の記憶の中に、その真っ黒なやけどを見たことがあった。
「…君だったのか。あの時の子供は…そうか…」
アニエスが自分のやけどのことに気付いたのを知り、コルベールもまた気付いた。アニエスが、自分が引き起こしたあのダングルテールの悲劇の夜にかろうじて救った少女が成長した姿なのだと。
「…無論、私とて思っていないさ。ただ…自分の意思で君を助けたかった、それだけだ」
しかし、だからといってアニエスは許す気はさらさら無かった。そもそも村が家族もろとも燃えカスにされたのは、リッシュモンやこの男が原因だったのだから。彼らが何もしなければ、自分の村は焼かれることは無かったし、自分もこのような醜い復讐心だって抱くことは無かったはずだ。
「…私を生かして置いたということは…覚悟はあったはずだ。仇として、私に殺されるという覚悟が!」
アニエスはコルベールを突き放すと、再び剣を手にとってコルベールに、それを振り下ろそうとする。しかし、キュルケがコルベールの前に両手を広げ、自ら壁となった。
「お願いだからやめて!!」
確かにアニエスにとって彼は仇かもしれない。だが、同時にこの人は自分たちを救ってくれた恩人なのだ。勇敢なる勇者なのだ。それを手に駆けるなどあってはならない。だからなんともして止めなければとキュルケは身を挺してコルベールを庇った。
「邪魔するな!!20年だ…20年も待っていたのだぞ!!私の故郷を焼き払った仇を…!!」
「…コルベール先生を殺すというなら、私があなたと戦うわ。たとえ殺されてもね」
それならば自分もこうするしかない。杖を引き抜いて、キュルケはアニエスと対峙した。
「ミス・ツェルプストー、下がりなさい!」
「いえ、さがりませんわ。私たちにはあなたに助けられた。その恩を返す義務があります」
生徒が自ら身をさらしてきたことに、コルベールはすぐに下がるように言うが、キュルケはそのように言い返した。
「邪魔をするなと言っただろう!」
「やめろ」
横からアニエスの手を、シュウが握ってそれを阻んだ。アニエスはその手を乱暴に振り払う。
「邪魔をするというのなら…ウルトラマン!貴様とて容赦しないぞ!!」
「アニエス君!!」
憎しみとはここまで人を変えるのか。これまでトリステインの窮地を救ってきた光の戦士の一人さえも斬ろうとしている。アンリエッタが認めた誇り高い騎士は、今や憎しみに囚われた怪物になり果てようとしていた。そんな彼女に、シュウは
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