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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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延しているという疫病の処理のため、村を焼却する。
メンヌヴィルの言う通り、一瞬だった。コルベールの二つ名を象徴する炎の蛇によって、村は一気に火の海と化した。
これでまたひとつ任務を達成できた。村の人たちには申し訳ないが、これもトリステインのためだと信じた。
……しかし、部下の一人が報告に来た。
「隊長、報告したいことが……」
「どうした?」
「それが……おかしいんです。今確かめに行ったのですが、疫病の痕跡がありません」
「何……!?」
そんな馬鹿な。疫病がない?耳を疑ったコルベールもすぐに確かめに燃える村へ向かう。彼は、村に生き残っている人間が誰もいないのか、燃え盛る炎の中で確かめていく。その際、たった一人だけ生き残っていた少女が泣きながら道の上にいるのを見つけ出す。コルベールはためらわなかった。いずれこの少女が、故郷を奪った自分に復讐することなど一切考えなかった。ただ、この少女に死んでほしくなった。
すると、彼女の傍らの燃えつきかけていた建物の骨組みが、彼女の頭上に落ちようとしていた。コルベールはとっさに彼女を抱きしめ、その崩れてきた瓦礫から少女を守った。
「っぐ…」
それと引き換えに、彼は現在も残るほどの酷いやけどを、うなじに負った。

事件後、彼は自分が受けた任務の真の意図を突き止めた。
ハルケギニアではなにもブリミル教だけではない。中には始祖ブリミルではない存在を崇める新たな宗教もある。だが、かつて日本で天下統一を果たした豊臣秀吉が、自分のいうことを民や家臣が聞かなくなることを危惧してキリスト教を禁止したように、ハルケギニアでもブリミル教以外の宗教は、特に総本山であるロマリアからは厄介でしかない。それを知るリッシュモンはロマリアに、ダングルテールに新教徒が住んでいることをバラし、ロマリアは新教徒の処理を彼に申し出たのだ。引き換えに……莫大な報償金をリッシュモンはロマリアから受け取り、豪遊生活に拍車をかけた。当然自分が犠牲にしたダングルテールの村人たちの無念と悲しみなど無視して、嘲笑っていた。
自分が信じたトリステイン政府のために汚い仕事を躊躇わず受けてきたコルベールにとって、それは自分を否定された、卑劣な裏切りだった。
だから、過去の経歴を隠して教師となった。教え子たちを、リッシュモンのような性根の腐った貴族にさせないために。

「たとえ命令でも、疫病が真実であっても、私が取り返しのつかないことをしたことに変わりない。女も子供も見境なく焼いた。
ただ命令に従い、疑問を抱かず任務を果たす。あの頃の私は、それが正しいのだと思っていた。あの日、その間違いに気づいて、私は軍を抜けた。二度と破壊のために…この炎を使わないと」
すると、アニエスはコルベールがそこまで言い掛けたところで、彼の胸倉を掴んだ。
「ふざけるな!そ
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