贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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そして、すぐにシュウたちのもとへ、彼は引き返した。
「君たち、無事かね?」
「は、はい……」
少し当惑ぎみにキュルケが頷く。
「あの、おじさんは……大丈夫?」
シュウにくっついたままのリシュが、コルベールのうなじ辺りを見て不安を口にする。さっきメンヌヴィルの魔法を避けたときに、わずかに焼かれた箇所だ。マントもそのせいで少し焼けた跡が残っている。
「ありがとうリシュ君。見ての通り大丈夫だ。クロサキ君にミス・タバサが貸してくれたからね」
「……助かったのは、私達です」
礼を言われたタバサは静かにそう答えた。
「そうか、だが私が勝てたのは君たちのお陰だ」
コルベールはシュウに視線を合わせる。
「先生、済まない」
すると、シュウはコルベールに頭を下げてきた。
「どうしたのだね。謝るようなことを君がしたのか?」
「俺が奴を、今よりもずっと前に仕留めていれば、またあなたが手を汚すことはなかったかもしれない」
メンヌヴィルとは、シュウも因縁が付きそうなほど何度もぶつかってきた。だがその度に奴とは決着がつけられなかった。今回は相手が非道な存在だったとはいえ、魔法で人を殺さないコルベールが自らかけた誓約を破る要因になった責任をシュウは感じていた。
「よいのだクロサキ君。君はこの世界のために頑張ってくれた。十分すぎるくらいに。
それにメンヌヴィルのことは、私の手で決着を……もっと昔に果たすべきだったかもしれぬ」
コルベールは笑みを見せて首を横に振った。少しでも人類のために戦ってくれた英雄に力を貸すことができたのだ。シュウの謝罪の理由には、自分も似たようなものだとコルベールも考えていた。
キュルケやタバサもシュウに注目した。
思えばコルベールの言う通りだ。確かに普通の人間とは異なる部分が多くもサイトにも似た要素も持ち合わせていたりと、興味を引かれるものがあった。しかしまさか、ウルトラマンに変身していたのが、彼だったとは。
だがそうなら、フーケの破壊の杖強奪事件や、アルビオンのウエストウッド村に短期の間いたのも頷けた。
「君はこの先も、人のためにウルトラマンの力を使うのかい?」
「……はい」
光を手に入れてから決めていたことだ。自分のせいで死んでしまった人たちに報いるために、どんなに辛くても彼はウルトラマンとしての役目を放棄するわけにいかなかった。
コルベールはやはりと、哀しげに目を伏せる。
「私は、あの時のことを後悔するあまり、君たちという若者たちの築く未来に、夢や希望に逃げていたのかもしれない」
サイトやシュウに口にしていた自分の夢。コルベールは怪獣災害や侵略者の戦いを見て、自分の犯した過ちのトラウマが甦っていた。自分のように、戦いの痛みを…相手の命を奪うことちなるのも、人を手にかけたときの嫌な感覚を思い出すのも嫌だった。だ
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