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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part6/赤い炎の記憶
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なかったかもしれない。だがネクサスに変身したシュウとの戦いで消耗し、しばらく変身できない状態に追い込まれたメンヌヴィルにはさすがに堪えていた。だが、メンヌヴィルはなおも耐えていた。
「舐めるなよコルベールううううううう!!!言っただろう、俺は闇の力を手に入れた!!この程度の炎、たとえ酸素を失おうと、俺は…死な…ん……!」
その爆炎の中から、メンヌヴィルは這い出ようとした。さすがに人間を捨てて悪魔の力を手に入れたのは伊達ではなく、人間の姿でもメフィストの姿の時ほどでないにせよ、無酸素状態と炎に耐えきろうとしている。
「!?」
が、その時だった。びゅう!!と季節外れの吹雪が巻き起こり、一瞬メンヌヴィルが動きを止めた。タバサの援護による魔法だった。風がコルベールの爆炎の火が逃げないように、炎の牢獄を包んだ。
さらに、一発の波動弾もメンヌヴィルの胸元の、メフィストに変身した際にネクサスに刻まれた胸の傷に撃ち込まれた。シュウのプラストショットによる掩護射撃だった。爆炎から這い出ようとしたメンヌヴィルは二人の援護で炎の中に押し戻される。
「ぐぬぬ……うがああああ!!」
「こいつ……!」
しかし、押し戻されてなお、まだメンヌヴィルは耐えていた。それを見てシュウは敵ながらとんでもないメンヌヴィルのタフさに関心さえ抱くも、タバサと共にメンヌヴィルを炎の中に閉じ込め続けた。
しかしこのままではこちらの精神力が切れて魔法が使えなくなり、今度こそ勝ち目がなくなる。
炎で人を殺さない…そう決めていた。教え子たちにも、自分のように手を汚すようなことをさせたくなかったし、命がけの辛い戦いとは無縁であってほしかった。だから女王がサイトらに対怪獣対策部隊を頼んだことにも反対した。たとえ臆病者と罵られても……
だが、手を汚さなければ守れないものがあるのなら……
コルベールは目を見開き、杖を再び振るった。
すると、メンヌヴィルを閉じ込めるコルベールの炎の一部が、小さな蛇の形を成した。その炎の蛇は分裂し、爆炎を耐え抜こうとするメンヌヴィルの……口や鼻、耳の穴から入り込んだのだ!
「がぼっ……………………ッッッッッッ!!!」
メンヌヴィルは言葉も発せられなかった。鼻や口、耳、さらには目から炎が吹き出す。コルベールは、メフィストの力を得て無酸素でも奴が窒息しないと踏み、体内から彼を焼き尽くすことにしたのだ。
肌の上からの熱も無酸素状態も耐えるなら、体内。さすがに内臓を焼かれては、さすがのメンヌヴィルも耐えられなかった。
声にならない悲鳴、その果てに、遂にメンヌヴィルは倒れた。
「蛇を越えて悪魔にはなれても、慢心はあの頃のままだったな、副長」
事切れたメンヌヴィルを見下ろしながら、コルベールは無表情で呟いた。

悪魔の力を手に入れた狂気の男の最期だった。


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