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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
[ 同日.PM.5:46
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がそう言うが早いか、櫪氏はそれを穴へと嵌め込んだ。
 暫くすると、その下から歯車の回る様な音が響き、その扉が徐々に開き始めたのだった。
「随分と用心深いな…。ここに一体、何を隠したんだ?」
 私がそう呟くように言うと、櫪氏は「行ってみれば分かるだろう。」と言い、開き切った扉の奥へと入って行った。
 中には階段が作られいて、それが地下へと続いていた。無論、さして広い作りではない。その上光も無いため、私の懐中電灯の細々とした明かりだけが頼りだった。
 当然ながら…そこも社同様、長年の埃が蓄積されている上に、強い湿気であちこち滑っている。その上、この階段は真っ直ぐに作られている訳ではなく、微妙に曲がりくねっていたのだった。
 暫くすると、私達はやっと大きな空間へと出ることが出来た。そこは、どうやら自然に出来た洞窟の様だった。如月家の地下にあった空洞よりは小さいが、それでもかなりの広さがある。
 私が辺りを照していると、ふと人工的に作られたであろう横穴を見付けた。
「櫪さん。あれ…何処へ続いてるんですかねぇ…。」
「ま、行ってみれば分かるだろう。と、その前に…。」
 櫪氏はそう言うや、懐から再び護符らしきものを取り出した。彼はそれを縦に四つ折りにするや、それに向かって何かを呟いた。すると、その先端に火が灯り、私の懐中電灯よりも辺りを明るく照し出したのだった。
「…それが出来るなら先に言って下さいよ…。もう何があっても驚きませんから…。」
「あのな…こいつも結構力がいるんだよ。疲れるんだ。何でもタダじゃないってことだよ。さ、先に進もう。」
 その返答に苦笑しつつも、私は櫪に続いて見付けた横穴へと入って行ったのだった。
 横穴の中へ入ると、何処からか風が吹いてきていた。私達はその風を頼りに先へと進んだが、これが意外と長かった。幾つか分岐している場所もあったが、私達は風が強く吹く方向へと歩き続けた。少なくとも、風が吹いていれば行き止まりではないと考えたのだ。ま、ただの吹き抜けになっている可能性もあったが…。
 二十分程歩いただろうか。本来ならそう時間もかからないだろう距離だったが、かなり道が悪かったのだ。その道を抜けた先には…あの如月家の地下と同様の大空洞が広がっていた。
「これは…。」
 私は辺りを照しながら少し歩くと、そこには見覚えのあるものがあったのだった。それは、如月家の地下に落ちた時に見た、あの奇妙な井戸だ。
「あれは…。」
 それが同じ井戸であれば、ここは如月家の真下ということになる。懐中電灯を照して見る分には、やはり同じ井戸であることは間違いないと考え、それを確かなものとするために近付こうとした時だった。
「相模君、それに近付いちゃいけない!」
 余りの大きな声に、私は驚いて櫪氏へと振り返った。
「あれが、どうかし
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