File.2 「見えない古文書」
Z 同日 PM2:13
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れも霊的なものばかりを。故に、これが正装だと言っても全く不思議ではない。
だが…目立つんだ。坊主が袈裟着けて新宿を練り歩く位には目立つのだ。この小さな町では特に…。
「それじゃ…行きますか…。」
私はそう言うや、櫪氏を促してそそくさとその場を後にしたのだった。いいや…さっさとその場を離れたかったと言うのが本音だがな…。
さて、私と櫪氏はそのまま如月家の裏手へと回った。そこで木下さんと会うためだ。
木下さんは食事と就寝以外は館に戻らない。この広大な林を常に管理するのが、彼の庭師としての仕事なのだ。
「木下さん。」
私達はあちこち探し回り、やっと木下さんを見付けることが出来た。佐原さんは不在の様だが…ま、どこかにいるだろう。
「おぅ、相模さんかい。何だか屋敷が騒がしいようじゃが、何かあったんか?」
私が呼び掛けると、木下さんは不思議そうに問い掛けてきた。どうやら事故のことは知らないようだが…逆にこちらが事故にでもあったらどうするんだ?携帯くらい持ってても良さそうなものだが…。いやいや、そんなこと考えている場合じゃなかったな。
「いや…ちょっとした事故があって…」
私が館のことを話そうとした時、木下さんは私の後ろへ下がっていた櫪氏を見て目を丸くし、被っていた帽子を取って挨拶をした。
「お初にお目にかかります。櫪本家現当主にお会い出来ようとは・・・長生きはするもんですなぁ。」
「木下…まさか柊家縁の…。」
「はい。力を喪って久しい家ですが、こうして本家御当主と顔を合わせられようとは…。キヌさんから話は伺っとります。未だお若いというに、随分とご活躍とのことで…。」
私は驚いた。私もかなり櫪家のことは知り得てるつもりだが、木下さんが櫪家と繋がってたなんて…。キヌさんともかなり親しい間柄のようだし…。
「相模君。木下家はね、柊家先々代当主の弟が婿入りした家なんだよ。以前は八分家以外の家では最も力を持つ家だったんだけど、途中から力が遺伝しなくなったんだ。現在は櫪家から離れてるんだけどね。」
櫪氏は目をぱちくりさせて立ち尽くす私に、そう苦笑混じりに言った。隣の木下さんも「黙っとって済まんかったのぅ。」と苦笑している。
「それで、なんで貴方がこんなところで庭師を?」
櫪氏が木下さんにそう問うと、木下さんは表情を固くし、如月家へ入る経緯を話した。
要約するとこうだ。先ず、木下さん自身は三男で、家に束縛される立場ではなかった。そのため、父である家長から一つの仕事を頼まれたのだ。それが、この如月家へ使用人として入り、何か異変があれば報告するというもの。力を喪って久しい木下家が、なんでそれをする必要があったか?それは、如月家先々代が花岡家へと助力を求めたからだ。
当時の花岡家は櫪の分家の中では最も力があった。しかし、その
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