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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
Y 6.14.AM11:38
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「何だ…これ…?」
 それは井戸の様だった。私は不思議に思いながら近付くと、それは確かに井戸ではあったが…中には土が詰められていたのだった。
「どういうことだ?」
 自然にこうなるとは考え難い。意図的に埋められた…そう考えるのが妥当だろうな。
 しかし、ここでこれ以上のことを調べることは出来ない。それに、これだけ探して七海さんが見付からないなんてのは不自然だ。落ちた場所はさして変わらないはずなのだから、こんな離れた場所まで来て手掛かり一つ見付けられないとは…。
「仕方ない…一旦引き返そう…。」
 このまま探して回るのは危険と判断し、私はそのまま戻ることにした。この地下空洞は、今の軽装備じゃ無理だからな。
 私がそう考えて井戸へ背を向けた時、背後から声が聞こえた様な気がして振り返った。
「誰かいるのか!?」
 私は辺りを照らし出したが、そこには誰の姿もなかった。だが…

- 奪ったものを…返してもらう…。 -

 今度はハッキリと聞こえた。
「奪った…?」
 私はその声に憎悪を感じ取り、背筋が寒くなった。その声は男とも女ともつかず、ただ…憎悪だけが胸に突き立てられる様な…そんな声だったのだ。
 私はそのおどろおどろしい声を振り払うように…その場所から足早に立ち去った…。

 まるで逃げるように…。




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