File.2 「見えない古文書」
Y 6.14.AM11:38
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぁ、庭師が表玄関から入る訳にはいかないからな…。
「でも…相模様まで勝手口から入らなくとも…。」
「いやぁ…木下さんと話しながら来ましたから…。」
そう米沢さんと話していると、奥から柳瀬さんが来て私に言った。
「相模様、奥様と七海お嬢様が気に掛けてらっしゃいましたよ?時間に顔を出されないもので、私にどちらへいるか尋ねられた位で…。」
私はしまったと思った…。館を出る前、如月夫人には昼前に戻ると言っていたのだ。
「それじゃ、僕はお二人に挨拶してきます。昼前に戻ると言ってたのをすっかり忘れていました…。」
そう言うと、米沢さんも柳瀬さんも仕方ないと言った風に苦笑したのだった。
私は直ぐ様台所を出ると、二人が食事をしている筈の食堂へと向かった。私がそこへ入ると、如月夫人と七海さんはいつも通り席に着いて食事をしていた。
「遅くなってしまい申し訳ありません。」
私がそう言ってテーブルへ歩み寄ると、二人は食事の手を止めて言った。
「相模様、随分と遅かったですわねぇ。何か御座いましたか?」
「いや、木下さんと話しをしていたら、すっかり時間を忘れてしまいましてね。」
私がそう言い訳をすると、七海さんは笑みを溢しながら「相模様らしいですわね。」と言った。それを聞いた如月夫人も「そうですね。」と七海さんに相槌を打って笑ったため、私は頭を掻きながら「いつもこうではありませんよ…。」と反論したのだった。
その後、夫人が私を席へ着くよう促したため、私は用意されていた席に腰を下ろした。すると、当たり前のように食事が運ばれて来たため、柳瀬さんも米沢さんもこうなることは予想済だったわけだ…。
暫くは三人で優雅な昼食を楽しんでいたが、ふと…私は何かの気配に気付いた。それは目に見えない何か…そう、それはただの“気配"なのだ。時に座っているようにも思えるし、また時に歩き回っているようにも感じていたのだ…。
その“気配"は七海さんも気付いているようで、その表情には不安が滲み出ていた。だが、一方の如月夫人は何も感じてない様子で、ただ不安げな七海さんを見て訝しがっている風だった。
「七海、どうかしたの?」
「いえ…何でもないわ…。」
七海さんはそう言うが、彼女も先程から感じる“気配"が大きくなっていることに気付いているようだ。何とかそれを伝えようと、私へと視線を向けていた。私はそんな七海さんに頷いて見せると、彼女は母親である夫人へと視線を向けて言った。
「母さん…ここ、私達の他に誰かがいる気配がするの…。」
「何を言っているの?ここには私達三人しかいないじゃないの。」
夫人は首を傾げながら七海さんへと言った。しかし、七海さんは首を横に振ってそれを否定した。
「いいえ…さっきから私達の周囲を歩いたり座ったりしているわ…。」
「この子っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ