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相模英二幻想事件簿
File.2 「見えない古文書」
V 6.7.PM12:34
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の中へ、一人の男性が飛び込んできた。すると、目の前へ佇んでいた化け物は霧の様に掻き消え、私と七海さんはやっと呪縛から解放されたのだった。そして私はその場に膝をつき、七海さんはそのまま気を失ってしまった。
「君、一体何があったんだね!?」
 男性は私にそう言いつつ、心配そうに七海さんのところへと歩み寄った。
 そこへ如月夫人も駆け付け、私や七海さんの状態を見て目を丸くしていたが、七海さんを抱え起こしていた男性を見て夫人は言った。
「和久さん、一体どうなっているのです!?」
 その名に、私は驚いて男性を振り返った。そこにいる男性こそ、前首相の飯森和久その人だったのだ。
「いや…悲鳴が聞こえたので駆け付けてみれば、既にこの状態だったんだよ。そちらの紳士が先に来た様だが…。」
「相模様…一体何が?また…何かあったのですか?」
 私はどう説明したものかと思案した。見たままを説明して、果たして目前の二人を納得させられるだろうか?だが…ここで適当に誤魔化す訳にも行かないことは分かっていた。多少突飛なことを話したとしても、この二人であれば信じてくれるだろう。
 私はそう信じ、先にあった出来事を話始めた。
 二人は私の話を無言のまま聞いていたが、話終えると同時に、眉間に皺を寄せながら飯森氏が言った。
「やはり…現れたか…。」
 私はその言葉を聞き、目を丸くして飯森氏を見た。「やはり…」とは、以前にも似たような事件があったと言うことだ。だとすれば当然、現在の主である如月夫人も知っていた筈…。
 なぜそれを早くに言ってくれなかったかは想像に難くないが、それにしても…これでは何をどう調査して良いものやら分からなくなる。
 それどころか、こうした現象が頻繁に起きているのならば、探偵なんぞにではなく、もっと別な人物を雇うべきだろうに…。超常現象を解決するなんて、探偵にゃ無理な相談だからな…。
「やはり…とは、以前にもあったんですね?」
 私は単刀直入に聞くことにした。こうなっては、もう気遣って遠回りする必要などないだろう。全て話してもらった上で、この先を決めなくてはならないからな。話によっては、知り合いを呼ばなくてはならないかも知れないしな…。
「昌子さん…もう、話しても良いでしょう。この紳士は、どうやら七海嬢が見たものを見たようですし、探偵であれば守秘義務もありますからね。」
 溜め息を洩らしながら、飯森氏は私を見て言った。私は苦笑いをし、額を掻きながらそんな飯森氏へと口を開いた。
「やはりご存知でしたか…私のことは。」
「ええ。結城弁護士の先輩でしたね?彼から貴方のことは伺っていました。実は、昌子さん…如月夫人が彼に相談する以前に、私が結城君に人を紹介してほしいと依頼していたんですよ。」
 それを聞くと、私も如月夫人も呆気にとられてしまった
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